脱ぎっぱなし、置きっぱなし。小5娘が家で散らかし放題です【小川大介先生の子育てよろず相談室セレクション】

小川先生の回答


手をかけさせるのは「自分を見てもらいたい」気持ちの表れ

解決の糸口としては、「なぜ小学校に入ってから、散らかすようになったのか」、本人の事情を考えてあげることがポイントです。おそらくそれは自我とは関係なく、タイミングの問題と思われます。小学校に入った頃というと、妹さんが生まれてまもなく、まだ1歳になるかならないかというタイミングですよね。今まで自分一人で独占していたお母さんが、赤ちゃんのお世話に取られてしまったように感じたのでしょう。その不安感が根底にあるような気がします。

ベッドを自分のおもちゃなどで固めるのも、自分のテリトリーを賑やかにして、自分の居場所を確認するため。すっからかんだと不安になるのです。片づけずにいちいち手をかけさせるのも、安心感を得たいがゆえの行動に見えます。なぜなら、手をかけている時は、確実に自分のほうを向いてくれますからね。「置いとけば必ず洗濯機に入れてもらえる」というお母さんの動きが想像できるから、片づけずにほったらかしているのです。自分が脱ぎ散らかしたものをお母さんが片づけてくれているというのが、気持ちいいのだと思います。

片づけさせるのではなく、片づける様子を見守る

要は、お母さんに甘えているということ。ただ、甘え方が下手で、素直に甘えられないのでしょう。それで敢えて手数を増やさせることをして、振り向いてもらおうと画策しているのです。注意されると「フンッ」とふてくされてしまうのも、そのためです。片づけないことを指摘されたことに「フンッ」と言っているのではなく、「自分で片づけなさい」と言われると、「あなたのことなんか知らない」と突き放されているように聞こえてしまうのです。

片づけずに散らかしているのは、「自分を見て欲しい」という想いから。だから「洗濯かごに入れなさい」ではなく、そこまで一緒に行ってあげ、洗濯かごに入れるのを見ていてあげるようにしましょう。一人で片づけさせるのではなく、片づけるところを見守ってあげるというスタンスで向き合うことが大切です。
また、根底にある不安感を汲み取ってあげ、お姉ちゃんとだけ話す時間を意識的に一日の中に増やしていくようにしましょう。そうすれば次第に、本人の動き方も変わっていくと思います。

大事なものを本人に選ばせることが、片付けられる人への第一歩

幼稚園の頃は片づけていたということですし、学校でも整理整頓できているようなので、「だらしない」「片づけられない」という心配はしなくて大丈夫だと思います。ただ、片づけるという行為は、自分にとって大事なものを絞り込んでいく行為です。そのため、自分自身が定まっていない人は、自分が大事にしたいものが明確にわからないため、なかなか片づけられません。もちろん、人目をすごく気にして片づけるというタイプの人もいますが、それだと疲れてしまいますよね。それに、どうせ片づけるなら、人目を気にする片付け方ではなく、芯のある片づけ方ができる人になって欲しいものです。

そのためには、「自分はこれが好き」「これには自信がある」と言えるものを見つけることが必要です。お子さんに関していえば、なんとなく不安感があるようなので、まずは「これがあると安心」という実感を大事にして、取捨選択する練習をしていくといいと思います。具体的には、自分にとって大事なものを中心にして、あまり大切でないものは目につかないところに入れるか、思い切って処分をするということをしていきます。「片づけなさい」「綺麗にしなさい」という結果だけを求めるのではなく、「本当に大事なものはどれかな?」と選ぶようにして本人に決めさせてあげるようにしていくと、ベッド周りのゴチャつきも減ってくるように思います。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介先生
教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。
京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

漫画=きたがわなつみ/文=酒詰明子

Information

本ページはアフェリエイトプログラムによる収益を得ています

おすすめ読みもの(PR)

プレゼント応募

新規会員登録する

読みものランキング

読みものランキングをもっと見る

レシピランキング

レシピランキングをもっと見る

レタスクラブ最新号

レタスクラブ最新号詳細