影木さんが結婚して1年後。弟・DAIGOさんに遺産の話をしたら…
人気ゲームの制作会社や漫画家友達が主催した合コンにも行きました。特に発展はなかったけど、一度合コンというものを経験してみたかったので、それが叶ってよかったかなとは思っています。
他にも、学生時代の友達のちかちゃんが知り合いを紹介してくれたり、DAIGOのお友達が会社の先輩を紹介してくれたり、いろんな人に会いましたが、一回会って終わりの人や、今もLINEでつながってる人などさまざまですね。それと、私から声をかけたとあるバツイチの仕事関係者とは、何度かご飯に行ったりするくらいには進展しましたが、性の不一致でダメになったりもしました。
そんな中、とある仕事関係者と飲み会で会ったとき、「離婚してたよね。まだ再婚してないの?」「してないよ」「じゃあワイはどうや?」と私から誘い、なかば強引に付き合うことになりました。
彼のことは尊敬していたけど、離婚するときにかかったお金と子どもの養育費があるうえ、仕事がフリーランスで金銭的に不安定。食事に行くときはいつも私がお金を出していました。
さらに、ヘビースモーカーでお酒もたくさん飲む。「早死にするからタバコはやめなよ」と私がいくら言っても聞きません。いろいろ気になる部分はあったけど、私も「彼は才能があるから」と、そのときは目をつぶっていました。
そこに新型コロナウイルスという世界的危機状況が訪れます。年老いた両親と同居している私は、一歩も外に出なくなり、彼もそこの価値観は同じで、「今外に出るのは怖い。わざわざうつりに行くことはないよね」と話し合った末、LINEだけのやり取りになりました。
それがしばらく続き、2回目の緊急事態宣言のとき、だんだん頻度が減っていた彼からのLINEがついに途絶えました。そもそも私のほうが彼を気に入っていて、あちらは私のことをあまり好きではなかったんだろうな、と思っていたのもあり。
これは自然消滅だな。
その予感は現実になりました。
ただ、今思うと、私はやっぱりヘビースモーカーは無理だったなと。昔はパチンコ屋さんで慣れていたけど、最近のパチンコ屋さんは禁煙になったので、タバコの煙が嫌いになってしまいました。
それに、毎回こちらがおごるのも、のちのち引っ掛かっていたと思う。私自身、誰かを養っていける自信がない。今はよくても、漫画家というのは、明日にでも筆を折ってしまうかもしれない不安定な職業、自分だけじゃなく、パートナーのことまで金銭的に支えるのは厳しい。せめて自分の面倒は自分で見られる人がいい。
そんな結論にたどり着いた私は、彼に追いLINEをすることはありませんでした。
その年、2021年は、漫画家デビュー25周年を迎え、私はイベントなどの準備でかなり疲弊していました。
いつものように疲れた体を癒やそうと、14年来のマッサージ屋さんに行ったときのこと。担当してくれているマッサージ師さんが声をかけてくれたんです。
「僕の先輩が今フリーなんですけど、どうですか?」
実はちょっと前にも言われたことがあったんだけど、LINEだけでも前の人と続いていたので、お断りをしていたんですね。ワイ、浮気もしないので。だけど、再び声をかけてもらえたので、会ってみてもいいのかもしれないと思いました。
「前の人と4ヶ月前から音信不通になってるんだけど、どれぐらいたてば自然消滅になると思う? そろそろ自然消滅ってことでいいもんかね?」
「もう大丈夫ですよ。じゃあ、とりあえずLINEだけつなげますね」
そんな感じで、マッサージ師である今の夫と出会うことになります。
著=影木栄貴/『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』