【こんまりさんのお片づけメソッド】収納と片づけの違いを知ろう!

掃除と片づけ

【こちらもチェック!】ドラマ化もされたお片づけコミックエッセイ「わたしのウチには、なんにもない。」
『明日の自信になる教養3 池上 彰 責任編集 部屋も心も整う片づけ学』1話【全5話】


いちど片づけたら二度と散らからない、画期的な片づけ法として、近藤麻理恵氏が『こんまりメソッド』を発表してから今年で14年。
アメリカでも片づけのカリスマとして大ブームとなったこんまりさんのお片づけメソッドを改めて紐解いていきましょう。

『片づけ』は今や代行サービスなどの職業を生み、家事をプロにお任せする方も多くなりました。また片づけを学ぶ場所ができ、見様見真似で慣れていくものから、学ぶものへと変化してきました。『片づけ』は単なる整理整頓ではなく、自分の人生の棚卸作業。教養として身につけることで、人生は確実に好転するのです。

こんまりさんの片づけメソッドをあらためて学び、部屋も人生もすっきりさせましょう!

収納と片づけの違いを知って、作業の順番を明確にしよう


 片付けコンサルタントの近藤麻理恵さん

片づけで、よく使われる言葉に「整理」「整頓」「収納」の3つがあります。日常用語として意味がオーバーラップすることも多いのですが、本来の意味はそれぞれ違います。混同されることが多いので、それぞれの違いを見ておきましょう。

整理/必要なものと不必要なものを分けること
整頓/使いやすいよう、秩序だった状態に整えること
収納/ある場所に入れて、しまうこと

片づけといえば、花形はなんといっても収納です。ワイヤーラックや引き出しの中の仕切り、ファイルスタンドやラタンのかごなど、気に入った収納グッズにものがぴたりと収まった瞬間の快感はなかなかのものです。

100円ショップやホームセンターなどで売られている便利な収納グッズや、収納力がアップするアイテムは大人気です。雑誌では、読者のニーズに合わせ、おしゃれで美しい収納方法や最新のグッズを活かした収納などが特集されています。

しかし、ものをすべて収納場所に入れれば片づけは終了、というわけではありません。

ものを収納場所に入れると、ひとまずはすっきり見えます。しかしこれが落とし穴。収納にだけ頼る片づけは、ものが増えるたびに、収納グッズも増やすことになるのです。
結果、クリアケースが床に積まれ、本が収納されているカラーボックスがあちこちに置かれて…と、あっという間に部屋の中はものだらけ。隙間収納や吊るす収納など、収納にこだわってさまざまな工夫をしている人ほど、こうした状況に陥りがちです。

この場合に考えるべきことは2つです。
まず、中身について。収納グッズに収められたものが、本当にすべて必要かどうか、改めて確認してみると、収納したもののほとんどが、実はいらないことが多いのです。
また、どこに何を収納しているかを把握していることも重要です。必要なものがどこにあるのかわからない収納は、ただの押し込み作業になってしまいます。
使わないものを収納グッズに詰め込んでしまうことほど、もったいないことはありません。

ポイントは、最初に整理を終わらせること。必要なものと不必要なものを分けて整理をしてから、整頓や収納をしていく。この順番が重要です。
「整理整頓」という単語がありますが、「整頓整理」とはいいません。整頓よりも整理が先、という片づけの黄金ルールがこの単語に表れているのです。

片づけと掃除の違いについても見ていきましょう。同じ意味として使われる場面も多い言葉ですが、まったく別物です。

掃除は、汚れを拭いたり床のごみを掃いたりして部屋をきれいにすること。片づけは、いらないものを処分し、いるものを分類して使いやすいように配置すること。それぞれ対象にしているものが違います。掃除の対象は「汚れ・ほこり」。片づけの対象は「もの」です。

ほこりは、自分の意思と関係なく溜まっていくもの。ほこりや汚れが溜まっていくのは自然の摂理です。だから、掃除は、自然と向き合う行為です。
一方で片づけは、自分が家に招き入れたもののなかから、必要なものを意思を持って選び、整えていくこと。常に自分の意図があり、思考をしながら進める作業です。片づけは、自分と向き合う行為といえます。

対象が異なる「片づけ」と「掃除」


掃除といえば、お寺の修行としても有名です。ひたすら掃除に集中することで心を清め、悟りにつながるというのは、なんとなく理解できます。掃除は、手を動かせば無心になって進めることができるからです。しかし、片づけはものを残すか手放すかの判断をしたり、ものの定位置を決めたりと、どうしても思考力が必要になります。
脳の動かし方が違うので、明確に作業を分けることがポイントです。

たとえば大掃除のとき、多くの人は、片づけをしながら掃除をしています。目についた不要なものをとりあえず捨てて、ものを減らしたことで現れた床を拭き、大量の本を捨てて、空いた本棚を拭く…。それ自体は決して悪いことではありませんが、時間がかかりすぎて効率がよくありません。だからおすすめは、片づけを終わらせてから、掃除をすることです。

もしあなたが掃除は苦手と思っているとしたら、それはきっと、片づけができていないだけかもしれません。片づけをいちど徹底的に終わらせると、掃除のハードルはぐんと下がり、苦にならなくなります。

片づけをするときは、残すものと手放すものを整理し、その後に整頓と収納を考えます。掃除をスムーズに進めるなら、先に片づけを終わらせること。どちらもキーとなるのは順番です。

【著者プロフィール】


近藤麻理恵(こんどうまりえ)
1984年生まれ。片づけコンサルタント。愛称はこんまり。幼少期から片づけの研究を始め、独自の片づけ法「こんまりメソッド」を編み出す。『人生がときめく片づけの魔法』(河出書房新社)は40カ国以上で翻訳され、シリーズ累計1400万部を超える。2015年に米『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出。2022年にはネットフリックス(Netflix)の冠番組で、米デイタイム・エミー賞を受賞。

撮影/西村彩子 ヘアメイク/井生香菜子 イラスト/水谷慶大

※本記事は近藤麻理恵著、池上彰責任編集の書籍『明日の自信になる教養3 池上 彰 責任編集 部屋も心も整う片づけ学』から一部抜粋・編集しました。

著=近藤麻理恵、責任編集=池上彰/『明日の自信になる教養3 池上 彰 責任編集 部屋も心も整う片づけ学』

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