料理はパズル vol.3-2「考えごとで家事を楽しむ」 山崎ナオコーラのエッセイ
雑誌『レタスクラブ』で連載中の山崎ナオコーラさんのエッセイ「考えごとで家事を楽しむ」をレタスクラブニュースでも特別公開!
家事に仕事に子育てに大忙しの毎日。実体験に基づいた言葉で語られるからこその共感や、生活を楽しむためのヒントが隠されています。
vol.3「料理はパズル」を4回に分けてお届け。今回は第2回目をお送りします。
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だが、わざわざスマートフォンに触らずともできるパズルが暮らしの中にある。料理だ。
何か悩みごとを抱えて、他の考えごとを求めているとき、料理は役立つ。
料理には、パズルの楽しさがある。
それを踏まえて、夫が料理をしているところを眺めていると、かわいそうになってくる。
私たちの場合、平日は私が料理を作り、休日は夫が料理を作ることが多い。
「今日は、僕が作るよ」
「わあ、嬉しいなあ」
私自身、自分のやり方にごちゃごちゃ言われるとやる気がなくなってしまうので、夫に対しても口出しせず、すべて任せることを心掛けている。まあ、そもそもこちらが要求したいことはそんなにない。
夫の作る料理は丁寧で、いつもおいしい。ただ、かわいそうだ。
まず、夫は冷蔵庫を気にしていない。料理を作る前には、冷蔵庫の中身のことを思い浮かべ、「ほうれん草を早く調理してしまわないと、傷んじゃうなあ。これを中心に構成したい」だの、「白菜と豚肉があるから組み合わせたい」だのと考える楽しさがある。これをしないということは、最初のパズルの楽しさは放棄したということだ。夫は損をしている。
(続く)
文=山崎ナオコーラ イラスト=ちえちひろ
Information
1978年福岡県生まれ。埼玉県育ち。2004年『人のセックスを笑うな』で作家デビュー。エッセイ集に『指先からソーダ』『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』などがある。目標は「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。初めての絵本『かわいいおとうさん』(絵ささめやゆき、こぐま社)も刊行。
山崎ナオコーラさんのTwitter
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