新米の季節! 米どころ白河市でご当地の食材を味わう稲刈りツアー

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「おまたせしました。今年も美味しいお米ができました!」よだれがでそうな言葉につられて、青空の広がる10月、東京を飛び出して、みちのくを目指しました。

窓の外に見えるのどかな田園風景に心癒されながら、東北新幹線に揺られること約75分。あっという間に「みちのくの玄関口」の福島県・新白河駅に到着。ここ白河市は、かつては奥州三関の一つの白河の関が置かれたところとして有名で、最近ではご当地グルメとして人気の「白河ラーメン」を目当てに訪れる人も多いそう。

【画像を見る】駅改札と観光案内所の間にある巨大な「白河だるま」は貴重な記念スポット


また、ここは縁起物のだるまの名産地。駅の改札を出ると、2メートルはあろうかという巨大なだるまがお出迎えしてくれます。このだるま、「白河だるま」と言って、顔に鶴・亀・松竹梅がデザインされている、とてもおめでたいものだそう。駅中のおみやげ屋さんでミニサイズのものが購入できるので、「家内安全」「健康祈願」などを願って、旅の思い出に購入するのもいいかもしれません。

米どころの白河市で稲刈り体験!


頭を垂れた稲穂、これから収穫!


米どころでもある白河市。阿武隈川の清らかな水と、那須高原から吹き下ろす風、また昼夜の寒暖差。それらによって白河市のお米の美味しさが育まれるといいます。

田んぼの持ち主である鈴木勝美さん「今年は暑い夏でしたが、よく育ちました」


▲田んぼの持ち主である鈴木勝美さん「今年は暑い夏でしたが、よく育ちました」

長靴に履き替えて、いよいよ収穫! まず、中腰になり右手に鎌を持ち、左手で稲をつかみます。そして稲の根元近くを鎌で斜めに切ります。刈った稲は、7~8束くらいにまとめてから、ワラで結束します。

紺色のハッピを着て稲刈りをしている方が野崎さん


▲紺色のハッピを着て稲刈りをしている方が野崎さん

苦戦する参加者たちを横目に、ザッザッとリズミカルな音を立てて稲を刈るのは、日本を代表する日本料理店「分とく山(わけとくやま)」の総理長の野崎洋光さん。野崎さんが2004年アテネオリンピックにおいて、長嶋茂雄監督に依頼され、野球日本代表チームの料理を担当したことをご存知の方も多いのでは?

野崎さんは、「鎌の使い方も包丁の使い方も基本は同じですよ。ただ、鎌がどうしてこういう形をしているか、考えるのが大事」と話しながら、プロ並みの速さで稲を刈ります。

隙間がなく稲をかけるのがポイントだそう


最後に、刈り取った稲を木の棒に掛けて天日干しに。これを「はざ掛け」と言います。太陽の光と風でお米を乾燥させることで、ぐっと美味しさが増すそう。こうして約2周間かけてゆっくり乾燥させます。

「お手伝い」程度の収穫体験でしたが、実際に身体を動かすと農家さんとお米のありがたさが身にしみます。 

野崎さんがにぎってくださった新米おにぎり


作業を終え、クタクタになった一行を待っていたのは、ピカピカ光るおにぎり。一足先に田んぼをあとにした野崎さんが、今時は珍しくなったカマドを使って、白河市産の新米のコシヒカリを炊いてお出迎えです。

野崎さんからお茶碗でおにぎりをにぎる方法を伝授


「実は、この握り方は子どもさんから教えてもらったのです」と野崎さん。ある時、まだおにぎりが握れない年頃のお子さんが、お茶碗を使っておにぎりを作り、それが意外にも美味しかったのだそう。

「力を入れず、周りを指で軽く整える程度でいい」と野崎さん。最初に5%の塩水をつくり、それを茶碗ですくい、そのあと、ごはんをお茶碗によそり形を整えます。すると、不思議なことに口の中で「ほろっ」とくずれる食感のおにぎりに!

名湯「きつねうち温泉」で地元の食材をふんだんに使った「ご馳走」を楽しむ


エントランス前は、手入れが行き届いた芝生があり、小さな子どもも安心して遊べます


軽く腹ごしらえをした後は、名湯「きつねうち温泉」で汗を流します。「きつねうち」という、かわいくてちょっと風変わりな名称は、同地区の地名で、その由来は民話にあるそう。

肝心のお湯はというと、「美人の湯」と言うほどがあって、泉質がよく、とろっとしたお湯。神経痛や疲労回復などにも効果があるとされ、「毎日来る」という地元の人も多いとのこと。施設の館長は「(きつねに)騙されたと思って一度きてみてください」とジョークを飛ばします。

左)じゃが芋の味噌炒め 右)塩ゆで豚 上)卵とろろ御飯


具だくさんで優しい味のけんちん汁


「白河ブランド」に認定された「のでじまうどん」は小麦本来の薄い茶色で、コシが強いのが特徴


お湯につかってさっぱりした後は、野崎さんの考案のスペシャル料理メニューに舌鼓をうちます。

おしながきは、「じゃが芋の味噌炒め」「塩ゆで豚(白河高原清流豚)」「卵とろろ御飯〜温泉たまごを使って〜(碧空たまご)」「けんちん汁」「のでじまうどん 荏胡麻つゆ トマトジュース麺つゆ」です。

どれも白河産の豚、卵、トマト、うどんなど、地元の食材をふんだんに使った料理で、それこそが本当の意味での「ご馳走」に当たると野崎さん。

「食べ方でオススメなのは…」と、野崎さん自ら、白河産の「碧空(あおぞら)たまご」で作った温泉たまごにお箸をいれて、さっと黄身を割り、白河産の新米ご飯にかけて食べる様子を実演してくれました。

ご自身も福島県の農家出身という野崎さん。白河産コシヒカリの美味しさやはもとより、日本人の食生活の変化、農業への思いなど熱く語ります


「今日お出ししたのは、家庭料理を意識したメニューです。白河産の新鮮な食材が揃えば、味付けは食材の味を活かした薄味が一番。さらに、お米と具だくさんのお味噌汁があれば、忙しい毎日の中で、凝ったおかずにしようと一生懸命に知恵を絞らなくてもバランスのよい食事になります」と、野崎さんは話を締めくくりました。

「本当に安心できる美味しいお米」を食卓に届ける米問屋さんの想い


トラックから降ろされ、入荷されたばかりのお米は、到着すると、すぐ品質をチェックする等級検査に入ります


食後は、白河産のお米を精米・販売する「株式会社齋藤商店」を見学。ここでは、白河産コシヒカリ、ひとめぼれ、天のつぶ、ミルキークイーンなどを扱っています。驚いたことにすべてを放射能測定検査しています。

精米機の前でお話する社長の齋藤孝弘さん


代表取締役の齋藤孝弘さんは、「ほとんど数値は出ません」といいます。しかし、東日本大震災にともなう原発事故が原因で、福島県の生産者たちは風評被害に苦しめられている実情です。

でも、いつまでも嘆いてはいられません。齋藤商店では安全を確かめたものだけを出荷しているので「本当に安心できる美味しいお米」と胸を張って言えます。

紅白のだるまは縁起がよく、贈答用にぴったりの白河産のコシヒカリ 


さらに、齋藤商店では包装内の空気を脱気する「脱気真空包装」、脱気したあとに窒素ガスを充填する 「窒素ガス充填包装」でお米を包装しているので、お米の鮮度が保たれたまま。パッケージは「白河だるま」のデザインが施され、縁起がいいと人気です。

農家の人が大事に育てたお米、それを美味しいままで食卓に届けようとする米問屋さんの想いに、胸が熱くなりました。

白河市のシンボル小峰城で城内散策をするのもおすすめ


小峰城の三重やぐら。急な階段を頑張って登ると、眼下に白河市が一望できて気持ちいい!


旅の最後に訪れたのは白河市の「顔」である小峰城。築城は1340年とされ、国指定文化財です。石垣造りの美しい城は日本100名城に数えられ、盛岡城、会津若松城に並ぶ、東北3名城の1つとしても有名です。春になり、約180本のソメイヨシノが満開になると、石垣や三重やぐらをバックにお花見ができる最高のスポットです。

今年は、戊辰戦争から150年という節目の年。戊辰戦争というと一般的には会津のイメージがありますが、この小峰城を巡って西軍と東軍が激しく戦った歴史があります。この三重櫓も1868年の「戊辰戦争白河口の戦い」で焼失し、1991年に復元されたもの。過去に思いを馳せながら、城内散策するのもオススメです。

コシヒカリを始め、多くの美味しいものに溢れ、長い歴史が息づく白河市。ぜひ一度訪れてみてください。

文=平井明日菜

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