片づけを進める順番と選別法 モノを元に戻す技術(8)【連載】
インターネットなどから日々発信される情報に振り回され、いらないモノにも関わらず、整理整頓に、多くの時間を費やしている、現代を生きる女性たちへ。「シンプルライフ」の体現者で、ベストセラー作家のドミニック・ローホーさんが満を持して贈る、豊かな人生を手に入れるための片づけ術のすべて。
片づけをすることによるメリットから、片づけの準備に至るまでの段階を『モノを元に戻す技術 片づいた部屋があれば、大抵のことはうまくいく』から全11回までお届けします。今回は第8回目です。
選別するための具体的な準備
【ラグを使った選別法】
持ちものをエリアごと、部屋ごと、クローゼットごとに選別することを勧める人もいますが、それはやる気をなくしてしまわないためです。この方法は、選別するものが少ないときには有効ですが、実のところ、自分の持ちものを「一通り検討」するくらいで、全体像を見ることはできません。
たとえばキッチンで選別しようとしたら、サラダボウルがいくつか集まるかもしれませんが、その一週間後、リビングルームで選別に取りかかろうとしたとき、また別のサラダボウルの山を発見するかもしれません。
私たちはあまりにも多くのモノに取り囲まれているので、2倍か3倍、さらにはそれ以上に所有していることがたびたびあることや、それが家のあちこちにあることを自覚しているとは限りません。ですから、部屋ごとではなくカテゴリーごとにモノの選別に取りかかるほうがよいのです。
この大がかりな選別に取り組む最適の方法は、同じカテゴリーに属するものをすべて、大きなラグの上に運んでくることです。ラグの上のモノはあらかじめ取りさり、掃除機をかけておきましょう。その際にはソファーをリビングルームから押しだすことも覚悟することです。これから選別するものを見渡すためだけではなく、箱やゴミ袋などを広げるためにも、この大きな空っぽの場はぜひとも必要です。
役に立たないものや使っていないもの、古びたもの、壊れたもの、またはただ単に好きではないものを取りのぞいた後にのみ、真の片づけが始まるのです。
【十分な箱、キャビネット、袋、ラベルを準備しておく】
"本当に何かに熱中したとき、自分が得た結果に私自身とても驚いた。
ヴィッキ・マッケンジー
『Un ermitage dans la neige(雪の中の修道院)』(未邦訳)"
この重要な選別作業に取りかかるには、取っておくと決めたものを戻す入れものを準備しておかなければなりません。というのも、本書でご説明する片づけ法は、すべてのものをキャビネットや箱、かごの中にしまったり、トレイの上にまとめたりする方法なのです。必要なものは次のとおりです。
・キャビネット(大、小、キャスター付き)
これら最初のキャビネットはおそらく「一時的な」ものです。それらがふさわしいかどうかは後ほどわかるでしょう。さしあたっては、ふたのないシンプルな箱やふたを開けた状態の整理箱、それに取っ手のあるなしにかかわらずかごを利用します。つまり、真の片づけ術に取りかかるまでのあいだ手元にやってきたすべての入れものを、下着や花瓶、製菓用品など、取っておくと決めたものをカテゴリーごとに仕切って入れておくために使うのです。
・ジッパー付き透明プラスチック袋
アクセサリーや電池、糸巻き、裁縫用のゴム紐など小さなものを入れておくのに理想的です。サイズも豊富。フリーザーバッグもその一つです。モノを入れたら、たった一つしか入っていなくても、裁縫道具、子どものお絵描き道具などとしっかりとラベリングした箱やキャビネットの中にしまいましょう。
・マスキングテープとマーカー
こうした接着テープは手でちぎることができますし、簡単に剥がすことができて跡も残りません。中に入っているモノが明白でも、キャビネットや袋の中身(シーツのサイズ、薬を服用する人の名前など)をできるだけ詳しく書いて貼っておくことも大切です。
・分類するためのファイルボックスと、サブカテゴリーの分類に使う紙挟み
たとえ一つのカテゴリーに一枚しか印刷物がなくても、それぞれ別の紙挟みを使ってください。ですが、これらの紙挟みは、真の片づけに取り組んで良質なファイルボックスに投資すると決めるまでの仮のものとなるでしょう。こうした「応急処置」は美しくない上、気分が下がりますし、丈夫でもありません。紙はもっとも重い素材の一つなので、レバー式アーチファイルや丈夫で良質の布張りバインダーのほうがよいでしょう。頑丈なので、重要書類を生涯保存しておくことができます。ですから品質についてはお金を惜しまず、最良のものを選んだほうがよいでしょう。
・捨てたり、寄付したり、リサイクルしたりしたいもの用のゴミ袋や接着テープ
あとから開けて取りだしたくならないように、ゴミ袋はしっかりと接着テープで封をしてください。
・ハンガー
取っておくと決めた服を戻すために、そばに準備しておきましょう。
【進める順番】
一見収拾がつかないように思えるあなたのまわりの散らかりに絶望しないでください。次の順番で行動して、あなたが所有しているすべてのものを集めていきましょう。
1 衣類とあらゆる布製品(シーツ、ベッドカバーなど)
2 本と書類
3 食器、キッチンツール、食品類
4 小物類(文房具、小型電子機器、DVD、CD、大工道具、薬品、アクセサリー、バッグ、靴など)
5 思い出の品
この順番を守ることは非常に重要です。最初にあらゆる布製品から取りかかることで、あなたの散らかりを解消する最初のステップにおいて、即効性のある魔法のような効果が現れるのです。というのは、大抵の場合、ほとんどの家でいちばん場所を取っていて、いちばんの乱雑さを生みだしているのはこのカテゴリーだからです。一度このカテゴリーの選別ができると、満足感が得られ、次のカテゴリーに取り組む勇気が倍増することでしょう。
また、「思い出の品(手紙、写真、ぬいぐるみなど)」に取りかかるのは最後のステップだということを理解することも重要です。このカテゴリーは、選別するのが感情的にもっとも難しいのです。まず不要なものから取りのぞくことで、よりうまく「軌道に乗る」ことができ、ほかの分野よりもより多くの時間と気力が求められる感情的に難しい分野を理性的にとらえることができるようになります。
最後のアドバイスを申しあげましょう。片づけるときに写真は見ないこと。写真は整理してもらえる順番を最後まで待っていてくれます。
著=ドミニック・ローホー、翻訳=笹根 由恵/「モノを元に戻す技術 片づいた部屋があれば、大抵のことはうまくいく」(KADOKAWA)
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Information
モノを元に戻す技術 片づいた部屋があれば、大抵のことはうまくいく
フランス流モノに支配されない片づけメソッド。本書では、オーソドックスな片づけのテクニックに加え、箱やキャビネット、フック、カーテン等を最大限に活用する創意工夫の数々を提案します。一つひとつのモノを定位置に戻すと、結局は自分のための時間を手に入れることができるのです。
▼単行本情報はこちらから
著者:ドミニック・ローホー
著述家。フランスに生まれる。ソルボンヌ大学で修士号を取得し、イギリスのソールズベリーグラマースクール、アメリカのミズーリ州立大学、日本の仏教系大学で教鞭をとる。アメリカと日本でヨガを学び、禅の修行や墨絵の習得などをとおし、日本の精神文化への理解を深めてきた。
翻訳:笹根 由恵
フランス語通訳・翻訳家、フランス語・英語通訳案内士。オペラなどの歌劇からビジネス、各種スポーツの国際大会まで幅広い分野で通訳として従事。書籍の翻訳業務も行う。
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