「子どもを追い詰める『ダブルお母さん』」◆心が折れない子を育てる親の習慣(4)【連載】

#育児・子育て 

今の子どもたちは、大人の私たちが想像する以上にストレスフルな世の中を生きているー。大切なお子さんが「元気がない」「いつも不安そう」「何を考えているかわからない」…親の目にそう映っているならば、必ず原因があります。精神科医でありながら7年間うつを患い、そして克服した¨うつぬけ医師¨・宮島賢也さんの「うつの根本的な原因は小学校時代にあった」という体験をもとにした、子どもの「心の不調」を改善するための意外にもシンプルな考え方。著書「心が折れない子を育てる親の習慣」より連載全6回でお送りします。子どもを「ストレスに負けない人間」に育てるための親の習慣第4回目です。


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◆◆◆

教育熱心な父親が生む「ダブルお母さん」現象


最近、「2人のお母さん」がいるご家庭が目につくようになりました。

というのも、「教育ママ」という言葉があるとおり、これまでは、子どもの塾や習い事、受験について調べたり説明会に参加したりするといった、いわゆる「教育熱心」なのは、母親だったと思います。

僕自身、教育熱心な母親に苦しんできましたから、よくわかります。

ところが最近は、非常に教育熱心な父親が増えてきた。

それが「ダブルお母さん」現象です。

つまり、家の中に口うるさい(?)お母さんが2人いる、というわけです。

家にいると、母親だけでなく父親も一緒に子どもにあれこれ干渉してくるとなると、子どもは家庭での居場所を失っていきます。

すると、家庭でたまったストレスを外で発散する子も出てきます。

保育園や学校で『ドラえもん』のジャイアンのようになっている子どもの背景には、そのような家庭環境があることも多いのです。


お父さんが家に帰りたくない「フラリーマン」も最近話題になっていますが、フラリーマンは、家に居場所がなくてもまだ職場や外に居場所があります。

お子さんは、家庭にも学校にも外にも居場所がなく、〝自分を生きている感覚〞が得られず、どこに行っても心が満たされない状態が続きます。

このような家庭は、まわりからは「温かい家庭」に見えることもあります。

それどころか、親御さんも「わが家は温かい家庭」だと思っています。

でも、肝心な「子どもの心」に気がついていません。


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お子さんに話を聞くと、「うちのお父さんとお母さんは、仲は悪くないけど、よくもありません」と言ったりします。

両親の会話は、いつも自分のこと(それも勉強や受験のこと)ばかり。

両親がそれ以外のことで楽しそうに話しているところを見たことがない、と言うのです。

最近は、父親はもちろん母親も仕事で忙しく、それに加えて塾の送り迎え、PTA、地域の活動など、親としての役割が多すぎるのではと感じます。

そのせいで、肝心な家庭での役割や、夫婦で楽しい会話をする余裕もなくなっているのかもしれません。


子どもは親の「言葉以外の部分」を察する


「過保護」の親とその娘をユニークに描いた『過保護のカホコ』というテレビドラマがありましたが、過保護が「過干渉」にまでいってしまうと、子どもの決定権はまったくなくなってしまいます。

親が先回りしてなんでも決めてしまう。あるいは、それしか選択できないような提案の仕方をしている場合もあります。

「こうしなさい」とまでは言わなくても、「こうしたほうがいいよ」「そっちのほうがいいんじゃない?」といった提案をしているように見えて、結果的には子どもに選択の余地がない状態にさせていることがあるのです。

最近では、学校の選択どころか、就職先や結婚相手までチェックしてしまう親御さんも珍しくありません。

もちろん、「親の言うことを聞いてよかった」というお子さんもいますが、なかには自分の気持ちを押し殺して、ため込んでしまうお子さんもいます。

でも、たまったものは、いつか爆発します。

自分自身で爆発する子もいれば、ため込んだまま大人になって、自分自身の子育てのとき、ご自身のお子さんのトラブルとして爆発する場合もあります。

また、「私は親に干渉されて嫌だったから、自分の子育てでは干渉しないようにしよう」と反面教師にしつつ、結果として、自分の親と同じことをやっていることもあります。


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子どもは言葉以上に、親の言葉以外の部分をしっかり感じ取っています。

「私は何でも子どもに決めさせるようにしています」と言う親御さんもいますが、実はそうでないこともあります。

「あなたが自分で決めていいのよ」と言いながら、目つきや雰囲気で、選択肢はこっちしかない状態にしていることもあるのです。

言葉に出さなくても、子どもは敏感に「こっちを選んでほしいんだろうな」という親の思いを読み取ります。

親が想像する以上に、子どもは親の気持ちを察しているのです。


親子の関係は、短く見積もっても10〜15年はあります。

人生の中で、10年以上も一つのことに取り組むことなど、ほかにはないのではないでしょうか。

10〜15年もの間、子どもは親の背中を見て育っていきます。

ですから、口で言うことも、言わないことも、無意識のうちに感じとりますし、すべて子どもの「潜在意識」の中に入っていきます。

子どもが何歳であっても、干渉はあまりおすすめしません。

小さいときから干渉ばかりしてしまうと、しつけはうまくいくかもしれませんが、親の顔色をうかがう子どもになってしまいます。

どんなに小さな子どもでも、何もわからない子どもとして扱うのではなく、生きる力を持っている人として、自分の人生を自分で決めていくためのサポートをしていくことが大切なのです。


作=宮島賢也


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著者:宮島 賢也◆YSこころのクリニック 院長。防衛医科大学校を卒業後、循環器内科研修中に1カ月の休職。家庭医に転じるも意欲が出ず、うつ病に。7年間にわたり投薬治療を受けるも改善せず、医学書以外の本を読み、試行錯誤するなかで、考え方や食生活を変えて人間関係を楽にする「メンタルセラピー」を考案。現在はうつ病のみならず、発達障害や統合失調症など、多様な精神疾患を寛解させるための支援を行うかたわら、執筆や講演などの分野でも積極的に活動している。

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