「思い出ボックス」で「思い入れ」の残量を制限。1年更新で見直して 鬼速片づけ(7)【連載】
思い出の品はどうすればいい?
「思い入れ」を整理する、もうひとつの方法が「思い出ボックス」をつくることです。
昔のアルバム、手紙、記念品、思い出の品、愛がいっぱいのモノ。
生きていくためには必要ないけれど、メンタル面で頼りになる、切っても切れない縁を感じる。そういう想いがあるうちは、決着がつくまでそっとしておきましょう。
「ヒモ」と呼ぶのは失礼なので、「幼なじみ」とでも呼びましょうか。輝かしい栄光の歴史があるモノたちなので、殿堂入りの記念館をつくってあげます。
具体的には、箱です。
でも、保留ボックスとは違って、こちらは保存するための箱。
だからダンボール箱はおすすめしません。ダンボールはあくまで梱包材(こんぽうざい)で、湿気に弱く、長期保存に向かないからです。
大事なモノだから、ちゃんとしたところにお休みいただきましょう。
うちではプラスチックのロック付きボックスを使っています。
種類はなんでもいいのですが、私から強くおすすめしたいことがあります。
思い出ボックスは、ひとりひとつ、と決める。
愛のキャパシティは限られています。「愛÷モノの数」で、数が多いと、ひとつに対する愛は小さくなってしまいます。思い出ボックスも、たくさんありすぎて見きれないのでは意味がありません。大きすぎて気軽に取り出せないのなら、残酷な言い方ですが、ゾンビと同じです。
そして、何が入っているか覚えていられる数にする。これがとても大事です。
あまり思い出が多すぎると重荷になって、前に進むパワーが弱まってしまいます。
思い出の役割は、いまの自分に元気や勇気をくれること。そのシンボルとして残しておくモノは、一箱に入る量で十分です。
過去のために、いまを犠牲にするのはやめましょう。
家族全員が平等にひとつずつ。その中身についてはお互いに干渉しません。
家族とはいえ、それぞれ思い入れや大切にしたいことは違います。そこに立ち入るとケンカや不仲のもとになってしまいます。
ある50 歳の男性は、小学生のときに書いた絵日記をずっと持っていました。
初任給からずっと、すべての給与明細を保管している方もいました。
どちらも、「がんばった証(あかし)だから捨てられない」と言っていました。
取っておくことでプラスの気持ちを生むようなモノ、これがあるからがんばれる、幸せを思い出してほっこりできる、エネルギーになる。それは本人にしかわかりません。
この思い出ボックスも、鬼速片づけのスピードをさらに後押ししてくれます。
ある音楽家夫妻は、昔の楽譜やレコードが大量にあり、なかなか片づけが進まないことがありました。もう使っていないモノ、これからも使わないモノがほとんどだけれど、「でもね」「これはね……」と始まって、まったく作業がはかどらないのです。
そこで私は、「『思い出ボックス』をつくりましょう」と提案しました。「思い出ボックス」も、要するに「保留」なのですが、動機がちょっと違います。
保留ボックスに入れるモノは「まだきれいだから」「もったいないから」という理由がほとんどです。ちょっと打算が入っています。
思い出ボックスに入れるのは、「使わないけど好きだから」「思い出だから」という想いです。これがあることで喪失感や罪悪感を感じずに整理を進められます。だから片づけが嫌になりません。
とはいっても、思い出ボックスは、ひとりひとつ。
いずれ満タンになったら、ぜんぶ出しをして整理しなければなりません。
でも大丈夫です。久しぶりに見てみると、思い入れの程度にも温度差が生じているのがわかると思います。やっぱり大事!と思うモノと、もういいと思えるモノ。
昔の彼との思い出の品。「新しい彼ができたのに、やばい!捨てなきゃ」。
小学校1年生のときにつくった作品。「かわいいと思っていたのに、なんだ、これ?」。「こんなモノが入ってた」「そういえばここに入れたんだ」と、つい苦笑いしてしまうようなモノは、幼なじみもそろそろ引退です。
人の心はよくできていて、1年もたてば、たいていのことが新しく更新されて、気持ちは上書きされます。思い出ボックスから過去のモノを取り出すと、もっと大事なモノが、いま、また生まれていることが実感できます。
逆に言うと、いまは手放せないモノも、気持ちも、いつか「もう、いいかな」と思えるときが必ず来ます。だから、いまはいろいろあっても大丈夫。
これからも生きていく限り、思い出のモノは増えていくと思います。
そのたびに、思い出ボックスに入れればいい。
でも、入れるたびにすべての思い出を見直して、気持ちを更新していきましょう。
著=吉川永里子
Information
元「片づけられない女」が考案した超カンタン片づけ法。たった2つのポイントを押さえるだけで、すっきりした部屋と人生が鬼速で手に入れられます。二度とリバウンドしないから、これが人生最後の片づけに!これまでの片づけ法に挫折した人にこそ試してほしい、必見の片づけ法です。
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▼掲載話一覧はこちら
著者:吉川永里子(よしかわ・えりこ)
生き方スタイリスト。整理収納アドバイザー1級認定講師。「片づけられない女」だった過去の経験を活かし、個人宅での指導から講演・セミナー、メディア出演などの活動を通して、働く女性・主婦目線での整理収納やライフスタイルを提案してる。
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