最終ミッションは「死なせない」こと。ボンベイさんがたどり着いた育児と家事、究極の形

家事なんて適当でいい! 最重要ミッションは“死なせない”育児。

そんな無理をしない、肩の力を抜いた家事・育児の情報を発信し、ママたちの支持を集めるインスタグラマー、ボンベイさん。初の著書『家事なんて適当でいい!』が話題沸騰中です。

試行錯誤しながら実践し、毎日を楽しくしてきた暮らしと子育ての工夫や考え方について、お聞きしました。

育児や家事や仕事、毎日のやりくりに悩むすべての主婦、必見! です。

しんどい育児、終わらない家事への絶望。「理想的な育児」に振り回されていた過去
子育てに悩むすべてのママへ! 最重要ミッションは「死なせない」!


カッコつけずに発信したリアルな子育て事情がきっかけに


――まず、「家事なんて適当でいい!」という著書のタイトルがインパクト大です。どんな風に決まったのでしょう?

「本当は『死なせない育児』というタイトルにしたかったのですが、当時、虐待死などのニュースが多く報道されていたこともあり、刺激的すぎるとのことで別のタイトルを考えなければなりませんでした。

編集者さんとの最初の打ち合わせの時、『子育てってほんと大変ですよねー』という会話で盛り上がったのですが、『仕事も育児も大変なんだから、家事なんて適当でいいですよね!?』という言葉が出てきた時に、『そうですよ! 本当に、家事なんて適当でいい! これ、タイトルにしちゃいましょう!』と言って、仮で決めたタイトルがそのまま採用となりました」

――その言葉、よくわかります!!!

「家事を完璧にしようとするあまり、本当に大切にしたい子どもとの時間が減ったり、家族の笑顔がなくなるくらいイライラしてしまうなら、『思い切って家事から手を抜いちゃうのってどうですか!?』という、あくまで1つの提案という思いをタイトルに込めました」

汚したって、散らかしたって、気にしない。遊ぶときにはできるだけ一緒に楽しむ。


――その「死なせない育事」についてSNSに投稿されて大反響を呼んでいますが、情報発信のきっかけやその際の心境を教えてください。

「最初から育児の発信をしたいと思ってSNSを始めたわけではなく、役に立てるのかもしれないという気付きから、流れでここまできてしまった感じです。

子どもを3人育てていく中で、『私には子どもが3人もいる。夫が義両親から継いだお店を手伝うような働き方だと、収入源が1つしかなくて何かあった時が不安。私の収入だけで家族全員を養えるくらいのスキルを身につけて、夫とは別の仕事をしなくちゃいけない』という金銭的な不安が出てきました。

そういった経緯があって、双子が産後2ヶ月の時に思い立ち、もともと興味のあったプログラミングをオンラインで受講し始めたんです。

8週間のプログラム期間中、322時間かけて双子ママ専用掲示板『HUTACHAN-ふたごちゃんねる』を作りました。Twitterで完成した掲示板を告知すると、5000リツイート程度のぷちバズりしまして、そこでもらった反応が今の『死なせない育児』発信に繋がっています。

その時、『産後間もない双子とイヤイヤ期の長女もいて、なんで自分のやりたいことをする時間がとれるの?』という質問を多くいただいたんです。そこで初めて『もしかしたら、過去のつらかった経験から試行錯誤して育児をしている自分の経験が、誰かの役に立つのかもしれない』と気付き、育児に関する発信を行うようになりました」

――フォロワーや読者からの反響もすごいですよね?

「私は特に目新しい提案をしているわけではないし、当たり前のことしか言っていないと思います。でも、『こんなこと、人に言えない』と、ある意味、みんなが隠してきたリアルな子育てを、勇気を出してカッコつけずに発信してみたことで、『実は自分もそうでした』『自分以外にも同じことで悩んでいる人がいると知ることができて救われました』という声をもらうようになりました。

ただ、世間で言われる『理想的な育児』とは違っているので、『こんな育て方されたらかわいそう』とか、ひどい時は『虐待だろ』などの厳しい言葉をもらったことも何度もあります。覚悟を決めて発信を始めてはいるのですが、やはり実際にそういう言葉をもらうとどうしても傷つきます。

そんな時は一度SNSから離れて『自分が本当に大切にしたいことはなんだろう』と、自分自身を見つめ直す時間を作ったり、応援してくれる人からの温かい言葉を読み返したりしています。誰か1人でも気持ちが楽になるのであれば、発信を続けていくって決めているんです」

心身に余裕ができて初めて感じられた我が子への愛情


――「家事なんて適当でいい」「死なせない育事でいい」と思えるには、結婚や出産からかなり時間が経ってからですか?

「家事なんて適当でいい、死なせない育児でいこう」と覚悟を決めたのは、双子を妊娠した時ですが、その考え方に切り替えるためには結構時間がかかりました。長女が1歳になる少し前に義両親との同居を解消したのですが、そこから双子妊娠の時期まで、徐々に考え方を変えていきました」

――今の境地に至るまで、「妻として母としてこうしなければいけない」という思い込みのようなものは、やはりありましたか?

「もちろん、ありましたよ! まず完全母乳。これは、『母乳が最強』と発信しているサイトを熟読していました。それから、離乳食は全て手作り、家事と育児は夫に頼らず全て自分でやる、常に子どものことを一番に考えないといけない、「子育てがしんどい」だなんて思ってはいけない…などなど」

――すごいですね。今は洗濯乾燥機やルンバ、ホットクック、食洗機などを駆使されています。実際に使ってみてどうですか?

「頼れるものには頼って、精神的にも肉体的にも余裕ができた時、初めて長女のことを心から愛おしいと思えた瞬間があって、『ああ、この子はこんなにかわいかったんだ』と涙がボロボロ止まらなくて…。

手間ひまかけて家事を行うことが愛情だと勘違いしていたことに気付きました」

大活躍の洗濯乾燥機とルンバ


――子育て中は、ついそう思ってしまいますよね。それで自分を追い込みすぎて、また自分をつらくする…という繰り返しも多いです。

「『全てを完璧にしたい』という気持ちは、自分の自己満足でしかなくて。子どもが本当は何を欲しているのか、どうすれば愛情を感じてもらえるのか、という視点が今までなかったんですよね。

この気付きは、それからの育児の考え方を大きく変えるきっかけになりました」

――料理については、「週の半分は豚汁とごはん」が衝撃でした! 旦那さまやお子さんの反応はいかがでしたか?

「夫は飲食店の経営者という仕事柄、店での試食や付き合いの外食が多くて、家で食事をすることがほとんどにないんです。そういう意味では、文句を言われることがなくて切り替えやすかったです。

子どもも特に反応はないですね。いつもどおり「おいしい、おいしい」とおかわりしながら食べてくれます。

自分なりに栄養バランスや効率化を考えて、手抜き=栄養不足にならないための提案だったので、SNSでも好意的な反応を多くいただいたんですよ」

週の半分は豚汁とごはんと決めている。「子どもも『おいしい、おいしい』とおかわりしながら食べてくれます」


――現在、旦那さまとの家事分担はどんなふうに?

「以前よりも夫が仕事のスケジュールを調整しやすくなったので、夫がいる間は子ども3人とも預けて、ふらっと外に遊びに出ちゃいます。この前は東京のフェスにも泊まりで参戦できました!(笑)

ただ、仕事がある日は帰宅しても夜中だったり、出張で丸1ヶ月いなかったりするので、日常的な家事分担は特にしていないです。時間ができた時に全て任せる、という分担で今は生活しています」

プライドや固定観念はいらない! 自分らしいやり方を探せばいい


――「残り体力0%の時は食事はお菓子パーティー」でもよし、「寝る前のコスプレ大会」など、子供へのユニークな対処法に「こんな手もアリなんだ!」と思いました。どうやって思いつくのですか?

「もともとビジネス書が好きなのですが、『仕事はできるだけ効率化して、視点を変えて問題を解決させることが良しとされるのに、なぜ家事や育児は丁寧さだけが称賛されるのだろう?』と、ふと思ったんですよね。『愛情』という抽象的な概念のせいで、重要なポイントが見えなくなっている人が多いんじゃないか、って。

それからは、何か困ったことが起きた時にどうすれば解決できるのか、固定観念や常識を取り払って考えるように意識しています。

例えば、寝る前のコスプレ大会は、娘が外出時にドレスを着たがる→一番好きな服なのにあまり着る機会がないからでは?→ドレスを着ても困らない場所は家だ→じゃあドレスを家着にしちゃえばいい。寝るときも着たいなら、そのまま着せてあげよう→ドレスがパジャマ化…という経緯です」

子どもたちが大好きなお菓子パーティー


――子供が集中しているときは声をかけずに見守る、笑っている時に話しかける、子供が自分でできる仕組みを考えるなど、愛情あふれる育事方法も印象的です。

「子どもがどういう選択をしたとしても、それを応援することができる環境を作ってあげたいと思っています。その大前提を軸に、いいなと思った子育てのテクニックを本や人から聞いて学んでいます。

ただ、その理想を叶えるためには、親側の器の大きさが重要になってくると思うので、『子育て』というより『自分育て』」の方を意識してます。

親の背中を見て子どもは勝手に育っていくもんなのかな、と最近は考えています」

――それでも家事に疲れたり、育児にイライラすることはありますよね? どんな時はどうしていますか?

「私は、自分の時間や気持ち、体力を削って子どものためにしてあげているという『自己犠牲』の気持ちが強くなった時に、一番イライラしたり疲れたりしてしまいます。

なので、どんなに忙しくても、5分でもいいから、自分がやりたいこと、やってみたいことをして『自分のためだけに時間を使えているなぁ』と実感できる時間を持つようにして、心を安定させています。お笑いの動画を見たり、2~3時間ほど外出したり、“幸せになるリスト”を書いたり。

ちなみに一番育児がつらかった時期は、部屋の1室を大改装して、床を張り替えたり、壁にペンキを塗ったり、DIYをしていました(笑)。

最近は作曲ができる『GarageBand』というアプリに手を出して、楽しんでいます」

しんどいときはイヤホンで好きな音楽を。聴覚だけでも、視覚だけでも子どもから離れるとラクに


――「こうしなくては」という思いにとらわれて頑張りすぎてしまい、「家事や育児や仕事をすべて完璧にできていないだめな自分」に苦しんでいる読者も多くいます。実際に私もそうなのですが…。その気持ちを切り替える方法やアドバイスはありますか?

「私は『自意識過剰』をやめて、プライドを捨てました。『こうせねば』という思いに縛られていた時は、『こうありたい』」という気持ちが強すぎだったと思います。『こうありたい』は『こう見られたい』にも繋がっていくんですよね。自意識を捨てるために、自己啓発本などもかなり読んだんですよ。

『自分は完璧にはなれないし、なる必要もない』と常に言い聞かせて、少しずつ自分を変えていきました。

今の時代、ちまたにはさまざまな情報があふれていますが、育児の方法は1つではありません。周りの情報を鵜呑みにせず、自分に合った方法を見つけることが大切だと思っています」

プライドを捨て、何が本当に自分に必要なのかを考え、独自の家事・育児法にたどりついボンベイさん。

全てを完璧にすることなんて無理なこと。子どもが元気に健康に育って、家族みんなが笑って幸せならそれでいい。そんな自分らしい育児・家事の方法を探してみませんか。

撮影=竹田泰子

取材・文=岡田知子(BLOOM)


岡田知子(BLOOM)

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「育児中、ママは常にギリギリのラインに立っていて、
もしかしたら、毎日のようにニュースを賑わす虐待だって他人事じゃない!」

日々の育児でそう感じた著書のボンベイさんが掲げた最重要ミッションは「死なせない」こと。
試行錯誤しながら実践してきた、その暮らしと子育ての工夫・考え方は、自分と家族、みんなを笑顔にしていきました。

子どもとの暮らしが楽に、そして楽しくなる! 工夫がいっぱいの一冊です。

Instagram@bonbei_twinslife
Twitter@HUTACHAN_twins

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