男女の脳は違わない、とっさの使い方が真逆なだけ 男女のミゾを科学する(2)

#くらし   


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【画像を見る】男女のミゾを科学する


まずは、男女間コミュニケーションを語るときに、必ず質(ただ)されるこの命題から片付けておこう――男女の脳は、違うのか、違わないのか。

男女の脳は、共に全機能搭載可能


それがスタティックに違うのか(どちらか、あるいは双方に機能欠損があるのか)という質問なら、私の答えは一貫して一つである。

男女の脳は、違わない。どちらも、全機能搭載可能で生まれてくる。どちらも、何でもできる。

とっさの使い方には性差がある


ただし、脳が緊張したとき、とっさに使う感性の回路の選択が違うのである。生殖戦略に直結した感性の回路は、その戦略が異なる哺乳類の雄と雌では、当然、使い方が違う。人類の男女もこれを免れない。

このため、平常時にはわかり合えるふたりが、有事に真逆の反応をする。

女性には、こんな経験がよくある――優しい恋人が、ひどい目に遭った私を、きっとなぐさめてくれると思ったのに、「きみも、こうするべきだったね」と言ってがっかりさせる。私は悪くないのに、あの人は他人の肩を持つ。ひどすぎる……。

けれど、これを愛の欠如と見るのは、不当である。「目の前の人の欠点を正して、いち早く混乱から救う」のは、長らく男性が生き残るための第一手段だったからだ。しかし、多くの女性は、「男性脳の進化の歴史」など関知しないから、深く傷ついてしまう。これこそが、男女のミゾである。

男女の脳は違わないが、とっさの使い方が真逆の戦略をとる。そこには、明らかに性差がある。そういう意味では、脳には性差があるのだ。

著=黒川伊保子/「コミュニケーション・ストレス 男女のミゾを科学する」(PHP研究所)

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