秘めた恋に苦悩する、エキゾチック男子『夢の雫、黄金の鳥籠』のイブラヒムなら不倫もok!/【連載】このイケメン(マンガ男子)を見よ!(3)

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「夜のように黒い髪…夜よりも黒い瞳――…」。襲われそうになったところに美しい男が現れ、マントをひるがえし、ターバンを乱し、暴漢を蹴散らす! それが、イブラヒムと少女・ヒュッレムとの出会い。こんなの、恋するに決まってます!! が、ことは簡単には運びません。なぜならここは、16世紀のオスマントルコ帝国。ヒュッレムは奴隷、イブラヒムは皇帝の側近なのです。ヒュッレムを"買い"、皇帝の「妾(めかけ)」として育て上げ、献上してしまいます。

影のようにひたりと皇帝に寄り添い、請われれば有効な助言を与えるイブラヒム。頭脳派でありながら、必要とあらば血なまぐさいことにも手を染める大胆さも持っている。清廉で、出過ぎず、多くを望まず。ヒュッレムには「身を立てなさい」と助言を与え、ピンチの時には(馬で!)駆けつけたりもします。ただ全ては、敬愛する若き皇帝のために――! 

ところが、「出世したら皇帝の妾を賜ることができる」と彼女との恋が成就する可能性に気付いた時、イブラヒムに男スイッチが入ります。皇帝ともヒュッレムとも「目があわせられない」。初めて秘密を持った男の、伏し目がちな悩ましい横顔のセクシーなことといったら!

でも……皇帝・スレイマンもとんでもなく魅力的なのが、この作品の罪なところ。卑近なことには目もくれず大局を見て、賢くて、冷徹で(そして金髪のイケメン)。しかも、自分の妾と側近が惹かれ合っていることに気付き、それを楽しんでもいるという余裕っぷり。イブラヒムとは逆のワルい男です。正直なところ、スレイマン様かイブラヒムかで、わたくし、未だ揺れております(勝手に)。ぜひみなさまも二人の間で揺れてみてください!

【今回のイケメン】『夢の雫、黄金の鳥籠』のイブラヒム:この、伏し目がちな黒い瞳がたまりません! ヒュッレムに強く生きよと助言する時の厳しい目もいいんですよね……。また、イブラヒムに恋しながらも皇帝の腕に抱かれる心地よさも感じ、妾同士の争いをしなやかに勝ちあがっていくヒュッレムも「いい女」です!

※このコラムは『レタスクラブ』2013.1.10売り号に掲載されたものです。

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門倉 紫麻 かどくら・しま(バックナンバー
1970年、神奈川県生まれ。1993年慶應義塾大学文学部卒業。Amazon.co.jpエディターを経て、2003年よりフリーライターに。2014年より読売新聞主催「SUGOI JAPAN」セレクター。2015年より文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員。
『ダ・ヴィンチ』『モーニング』などで、主にマンガに関する記事の企画・執筆、マンガ家へのインタビュー、コラム連載などを行なう。
著書に「週刊少年ジャンプ」作家の仕事術を取材した『マンガ脳の鍛えかた』(集英社、2010)、宇宙飛行士、宇宙開発関係者に取材した『We are 宇宙兄弟 宇宙を舞台に活躍する人たち』『We are 宇宙兄弟 宇宙飛行士の底力』(モーニング編集部編・講談社+α新書、ともに2012)。
またフランスにて、日本のマンガ業界用語を網羅したフランス人マンガファン向けの語学書『LE JAPONAIS DU MANGA』(Misato RAILLARDとの共著、ASSIMIL、2015)を出版。
最新情報は「漫画ライター門倉紫麻のブログ」

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