【#ねばからの解放】「これで栄養バランスOK?」毎食モヤモヤする罪悪感の解決法とは?料理のプロに聞く

#くらし   
「これで栄養バランスOK?」毎食モヤモヤする罪悪感の解決法とは?

家族の健康のため、子供の成長のために栄養バランスのとれた献立を毎日、毎食用意せねば。食卓には1皿でも多く品数をそろえねば…。「レタスクラブ」が実施したアンケート※では、日々の食卓に対する「理想と現実」のギャップに悩み、「これでいいの?」と自問自答しながらキッチンに立つ主婦の姿が浮かび上がってきました。
家族や誰かに「そうせねば」と言われたこともなければ、指示されたわけでもない。
「ねば」が生まれた背景や正体を解明しながら、「ねば」と思う気持ちと時代のズレをYahoo!ニュースとレタスクラブが全5回で問いかけます。今回は2回目です。
(※2020年4月実施、末子の年齢が3歳以上11歳未満の20~40代の既婚女性332人)

へとへと主婦の現実 「手抜き」の裏にある罪悪感

5歳の女の子と2歳の男の子を育てる、都内在住の共働きの主婦スズキさん。日々のメニューに頭を悩ませているといいます。

「ちゃんとした料理を出しても、子どもが食べてくれないんですよ。本当は私も、栄養バランスの整った朝食を出してあげたいです。でも、一生懸命考えて作っても食べなかったり、おいしくないって言ったりする。それがつらくて、とにかく『食べてくれればいいや』になってしまうんです。夕飯は、野菜や肉をまとめて摂れる大皿料理をドン!とテーブルに出しがち。皿うどんとか、ゴーヤーチャンプルーとか……。時々丼物などをテイクアウトすることも考えますが、それだと『次の食事でバランスを整えなきゃ』と負債のように感じてしまって……。手間は楽になっても、心理的な負担になるんですよね」

野菜とお肉をたくさん入れた皿うどんは定番

<ある日のスズキさん宅の夕食。野菜とお肉をたくさん入れた皿うどんは定番メニュー。>

ちくわのゴーヤーチャンプルー

<ちくわのゴーヤーチャンプルー。実はかなりの大皿に盛っている。>

でも、必ずしも「それでいい」とは思っていないスズキさん。理想と現実のギャップに落ち込むこともあるのだそう。
「テレビで品数豊富な食事や栄養バランスのいいメニューが紹介されていると子供に申し訳なく思ったりします。他のお母さんの話を聞いて、自分のことが恥ずかしくなったり……」

栄養バランス、品数……主婦が考える「理想の食事」とは?

レタスクラブで実施したアンケート※でも、実に9割近くの人が「家族にバランスのいい食事を提供しなければと思う」と回答しました。また、「理想の食事の品数は?」という設問では「4品、5品」という回答が全体の60%近くを占めました。
(※2020年4月実施、末子の年齢が3歳以上11歳未満の20~40代の既婚女性332人)

バランスのよい食事を作らねばと思う人が大多数


しかし、「バランスのよい食事を提供できている」と思っている主婦は、実際には約半数に留まります。

つまり、多くの主婦が、「品数豊富でバランスのよい食事」を理想としながら、それを実現できていないギャップに苦しんでいるのです。

料理のプロは「栄養バランス」をどう考える?

料理研究家として活躍し、SNSで日々オリジナルレシピをバズらせている「ジョーさん。」に、理想の家庭料理についてお話を伺ってみました。

ジョーさん。

ジョーさん。/1988年生まれ。食の企画会社にて勤務後、独立。「台所に立つのが楽しくなるように」をモットーに幅広いレシピを日々考案。ツイッターフォロワー24万人超(@syokojiro)。著書に『めんどうなことしないうまさ極みレシピ 激烈美味しいストレスなし103品』(KADOKAWA)ほか。

『めんどうなことしないうまさ極みレシピ 激烈美味しいストレスなし103品』


「そもそも、栄養バランスと品数は無関係です。汁物とご飯だけの『一汁一菜』でも、おかずをご飯に乗せただけの『丼物』でも、まったく問題ありません。長ネギが小鉢に入っていても、カツ丼の上に乗っていても、栄養は同じです。タンパク質、食物繊維、炭水化物などがしっかり含まれていれば、一皿でも『バランスのいい食事』になります」

包丁不要、冷凍うどんでつくれる「サバみそうどん」

<包丁不要、冷凍うどんでつくれる「サバみそうどん」。調理時間はなんと8分! 撮影/松永直子>

実際、ジョーさん。の著書『めんどうなことしないうまさ極みレシピ 激烈美味しいストレスなし103品』(KADOKAWA)には、「サバみそうどん」など1皿で野菜も魚も炭水化物も摂れる「バランスのいいメニュー」が登場します。では、どういった栄養素がそろっていれば「バランスがいい」と言えるのでしょうか。

「必要な栄養素の量は年齢や性別、身体の状態などで大きく異なります。一般的に子供や女性はタンパク質や鉄分が不足しがちといわれますが、そればかり摂取しても、うまく吸収できなかったりする。万人にぴったりの『バランスのよさ』はないし、上を見だしたらキリがありません。だから最低限『これだけ食べていれば大丈夫』というものを知っておくほうがいい。おすすめの野菜は、ブロッコリーとトマトです。買ってきたお惣菜にこれだけ添えれば、ちゃんとした食事になります」

ブロッコリーはビタミンCや食物繊維が豊富で、カリウムや葉酸も多く含んでいます。トマトは「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言われるほど優秀な食材で、リコピンやβカロテン、ビタミンCなど、さまざまな栄養を含んでいます。生で食べやすいので、栄養を丸ごと摂れるのもうれしいですね。

「さらに忙しいときは、『卵かけご飯と長ネギ』だけでOKです」

驚きの発言ですが、この組み合わせにはきちんと理由があるそうです。

「卵はとても栄養が豊富で、ほぼ完全栄養食とも言われています。タンパク質、鉄分、カルシウム、ビタミンA、B群、E、D……など、身体が必要とする多くの栄養素を卵だけで補える。ビタミンを壊さないためには生食がおすすめ※なので、炭水化物も補える『卵かけご飯』はとても栄養バランスのいいメニューなんです。不足しているのはビタミンCと食物繊維ですが、これも生の長ネギで補うことができます。いちいち切るのは面倒ですから、まとめてみじん切りにして保存しておくことをおすすめします」

※乳児期は卵アレルギーを発症しやすいため、注意が必要です。生や半熟の状態での摂取は控え、よく加熱したものを少量与えて様子を見てください。じんましんや嘔吐などのアレルギー症状が出た場合は、必ず病院を受診し、医師に相談してください。

キッチンバサミはまな板不要

<キッチンバサミはまな板不要!お皿で直接受けられるので、手間も洗い物も減らせる。>

ジョーさん。は、長ネギ以外にもブロッコリーやカボチャ、ニンジンなどの栄養豊富な野菜を粗みじんや一口大に切って保存しているそうです。

「長ネギやブロッコリーを切るときは、キッチンバサミがおすすめです。正直、まな板を出すのすら面倒くさいときもあるじゃないですか。キッチンバサミならまな板要らずで、切ったものをお皿に移す必要もありません。そうやって調理の手間を減らすことで、自然と料理へのハードルは下がります」

ジョーさん。が料理を始めたきっかけは「共働きのお母さんを助けたい」という思いからだったそう。

「いつも忙しい母の負担を少しでも減らせるように、自分の食事を自分で作り始めたのが中学生のときです。だから、いつも料理を通して『働くお母さんの力になりたい』と思っています。『栄養のあるものを食べさせてあげたい』という思いだけで、100点満点です。もしブロッコリー1つ、トマト1切れでも出せたら、120点! 子供は、食べたいものを食べて勝手に育ちます。私も好きなものを食べて育ち、身長は180cmを越え、ラグビー部にスカウトされるほどになりました。だから、無理をせず、気長に料理と付き合ってください」

家族の健康を願うからこそ、主婦は献立に思い悩むもの。でも、家族が嬉しいのは「理想の食事」よりも、お母さんが楽しそうな食卓かもしれません。「お味噌汁が具沢山だから、あとは買ってきたお惣菜でOK」「晩ご飯でブロッコリー出すから、朝はおにぎりでOK」など、自分を適度に許しながら、少しずつ「ねば」から解放されてみませんか。

文=高橋星羽(株式会社デコ)


◇「ねばからの解放」
この記事はレタスクラブニュースとYahoo!ニュースの共同企画記事です。
誰かに命令されているわけでもないのに、今も家庭に残る「こうせねば」。でもそれって本当?「そうせねば」という気持ちの正体と時代のズレを問いかけます。がんばり過ぎて疲れてしまう「ヘトヘトさん」へ暮らしのヒントを、全5回の連載でお伝えします。

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