「食材2品だけでも十分なメインに」料理家が教えるごはん作りがもっとラクになる考え方

家族で囲む食卓は楽しい時間でありたいもの。でも、毎日食事作りをしている主婦からは、「家事の中でも食事作りが一番面倒」、「毎日献立を決めるのが苦痛」といった料理に対するネガティブな声が聞こえてくることも。
そこで、レタスクラブでは、「食事作り」についてのアンケートを実施。23〜50歳の女性(回答294人)に、日々の食事作りで面倒に感じていることや意識していることを聞きました。

【グラフを見る】1位は?多くの人が「理想のおかずの品数は3品以上」と考える理由

■アンケートから見えてきた!献立を決めるのが苦痛な理由とは?

食事作りの工程のうち、何を一番面倒に感じますか?


食事作りの工程のうち、何を一番面倒に感じているか聞いたところ、「献立を決めること」と答えた人が半数近くという結果に。買い物に行ったり調理したりといった実際に体を動かす行為よりも、献立を考えるほうが面倒だと感じていることがわかりました。

【「献立を決める」と答えた人の理由(自由回答)】
●同じような食材、味付け、メニューになってしまいマンネリ化するから。
●コロナで買い物は週一のまとめ買い。値段や日持ち、バランスを考えて献立を組み立てるのが大変。
●前日と似たようなメニューにならないよう、栄養バランス良く献立を考えるのが難しい。
●給食と被らないようにしたり、品数を多くしないと文句が出るから。
●家にある食材をどう使うか、家族は食べてくれそうかなど、考えることがいっぱいあるから。

晩ご飯において、メイン料理のメニューを決める際に重視していること

また晩ご飯において、メイン料理のメニューを決める際に重視していることを聞くと、とくに多かったのが「栄養バランス」です。

晩ご飯におかずを何品出したいと思いますか

3品以上と答えた理由

晩ご飯におかずを何品出したいと思うか聞いたところ、3品以上と答えた人が6割以上を占めています。その理由としては、多い順から「自分の親の影響」、「子どもの栄養バランス」、「夫からの期待」という結果に。親、子、夫といった家族からの影響や期待に応えなくてはと試行錯誤している様子が伺えます。

今回は、子育て中のフルタイム勤務の4人の女性に集まっていただき、アンケートの結果をもとに自由にトークしていただきました。

■栄養バランス、コスト、調理時間…。献立決めは考慮すべきことが多すぎる!


青木さん 40代 東京都在住。フルタイム勤務。お子さんは5歳と2歳。
中島さん 40代 東京都在住。パート勤務。お子さんは8歳
飯塚さん 30代 埼玉県在住。フルタイム勤務。お子さんは11歳と6歳
高田さん 30代 千葉県在住。自営業。お子さんは10歳と5歳

青木:毎日献立を考えるの、すごくしんどいです。レパートリーが少ないし、仕事を終えて帰ってきてから新しい料理に挑戦する気力もない。変化をつけたい気持ちはあるのにできないもどかしさがあります。

中島:スーパーで品物を見れば献立が決まるかな?と思ってノープランで行ってみるんですけど、結局何も思いつかなくて売り場で呆然とすることがあります。惣菜売り場を一巡りしてみても全く心に響かなくて。

飯塚:わかります。決められないけどなんでもいいわけじゃないんですよね。

中島:結局、その日の特価商品や売り場でおすすめされている旬の食材で献立を決めることが多いかな。でもそうすると本当に毎日マンネリなんですよ。だからたまにレシピサイトを見て、いつか作ってみたい料理をブックマークしておいて、休日に作ってみたりしています。

飯塚:掃除や洗濯は多少溜まっていても目を瞑ることができるじゃないですか(笑)。でも数ある家事の中でも料理って後回しにすることができないんですよね。休日なんかはさっき昼ごはんを作ったのにもう夜ごはんの献立を決めなきゃいけない…って、一日中献立に追われてしまって、考えるだけですごく疲れてしまいます。

高田:育ち盛りの子どもがいるので、一番気になるのは栄養バランスです。一品でいいならまだなんとかなるんですよ。でも結局2品、3品と作らないといけないから、もうどうしたらいいのやら、毎日パニックになってます。

中島:うちもおかずは最低3品出したいかな。そこはやっぱり昔から言われている「一汁三菜」のイメージが大きいのかもしれません。自分の親がそうしていたから家族にも同じようにしてあげたいという気持ちがあります。でも毎日おかず3品って結構大変。時間をかけずにさっと作れる料理のレパートリーを増やしたいです。

青木:私は品数がなくても使っている食材の数が多ければいいと思っているので、お肉と野菜がいっぱい入っている料理がひとつあれば個人的にはOKなんですよ。でも食卓に出した時に、大皿でドーンなのといろいろな料理があるのだと、家族の反応が違います。

高田:家族の反応は気になりますよね。あとはコストも意識しています。うちは毎月の食費を決めているので、月の後半になるとオーバーしないかハラハラ…。スーパーではグラム数に対する価格をチェックしてとにかくその日安いものを買ってます。

飯塚:自分一人なら正直献立なんて適当でいいんですよ。でも家族の食事はそうはいかない。栄養バランスに加えてコストや家族ウケまで考えないといけないから、献立決めがますます大変になってしまうんですよね。


■栄養バランスや品数はもっとゆるっと考えて!日々の食事作りを楽にするヒント


家族に喜んでもらいたい、きちんと栄養をとって欲しい、さっと3品作れるようになりたい。そんな声が聞こえてきた今回の座談会。そこで、料理家の上島亜紀さんに、毎日の食事作りを楽にするヒントを聞いてみました。

食育アドバイザーやジュニア・アスリートフードマイスターの資格を持つ上島亜紀さん


「栄養バランスをきちんとしなくては」、「品数を増やさなくては」と、“あるべき理想の食卓像”に捉われて、献立が決まらなかったり、お料理が嫌いになってしまっている人が多いような気がします。でも、料理をそんなに難しく考えないで。

毎日おかず3品分の献立を考えるとなると大変ですが、どれか1品はインスタントを使ってもいいし、火を使わずレンチンや揉み込むだけの料理でも十分です。3品のうち「ちゃんと作るのは1品だけ」と考えれば、少し気持ちが楽になりませんか?

〜上島亜紀さんが提案する、さっと済ませたい日の3品〜


<汁もの>
汁ものがあると気持ちが満たされますし、体が温まるのでできれば毎食欲しいところ。簡単に済ませたい時は、市販のわかめスープに冷凍の小ネギを入れたり、卵を落としたりするだけでもOKです。

<メイン>
メインはたんぱく質を摂取するという概念で、肉や魚。それに常備野菜をザクザク乱切りしたものを一緒に焼いたり煮たりするだけで立派なおかずになります。「名前のある料理」にこだわらないで。

<副菜>
副菜はボウル一つ、もしくは保存袋一枚でできたら、キッチンも散らからず、らくちんです。
生で食べられる野菜はキッチンバサミで切って保存袋に入れ、ごま油と塩で和えて空気を抜くだけ。加熱用の野菜は調味料と和えてレンチンすれば、それだけでおいしい副菜に。コンロを使うのはメインと汁もので、あとはレンチンか混ぜるだけと自分の中で決めておくと、慌てずゆったりとした気持ちでお夕飯の準備ができますよ。

栄養バランスについては一食あたりで考えず、2日ほどの幅を持たせてトータルでバランスがとれていれば大丈夫。夕飯の品数が少なかったら、翌朝サラダやフルーツを食べたり、みかん一個を口にするだけでもいいんです。
また、栄養バランスを気にして一度にたくさんの食材を使おうとすると、料理が複雑になってしんどく感じてしまうかもしれません。そんな時は、食材2品だけでも十分美味しいメイン料理ができることを覚えておいて。

例えば肉じゃがには、肉とじゃがいもさえ入っていればいいのです。もちろん時間があるときはにんじん、玉ねぎ、白滝、インゲンなど…手をかければいくらでもできますが、意外に肉とじゃがいものシンプルなものも、ガツッと美味しく仕上がります。

上島先生の「肉じゃが」

これで大丈夫かな…と思う気持ちは意外と家族に伝わるもの。手抜きと思わずに、家族に胸を張って「シンプルで美味しいでしょ!」と自信をもって出すことが一番の隠し味だと思います。

最後に。「家族のためにがんばらなきゃ」と思って食事作りをしていると、義務感に押し潰されてしまって、作ることも食べることも楽しさを失ってしまうかもしれません。日々の食事は家族のためより「自分がおいしいものを食べたいから作るのだ!」という気持ちに切り替えると、ちょっと楽になりますよ。私自身、自分がおいしいものを食べたいという気持ちから、真剣に料理を学んで料理家になったくらいです。献立だって「私は今日これが食べたい!」という気持ちで決めてしまっていいんじゃないかなと思います。おいしい料理、食べたい料理を作っていると、気持ちが豊かになりますよね。

文=宇都宮薫

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Information

上島亜紀さん
料理家。食育アドバイザーやジュニア・アスリートフードマイスターの資格を持つ。運動部の息子さんを育てた経験から生み出される、簡単でボリューム満点の料理が人気。雑誌や書籍で活躍中。

上島亜紀さん

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