毎日お腹が空いていた…『明日食べる米がない!』著者が語る母ひとりと子ひとりの貧乏生活
笑いアリ、涙アリ…重くないタッチで、「リアルな貧困家庭問題」をたくさんの方に知って欲しかった

――今までほとんど誰にも話したことのない貧困生活を、今回赤裸々に描かれました。そのきっかけなどを教えてください。
「もとになったのは、18歳のときに描いた『うちは貧乏だけど。』という短編のコミックエッセイです。経済的な理由で大学に進学するか悩んでいたころで、世の中に対して、『自分はなぜこんななんだろう?』という気持ちがありました。周りにはなかなか言い出せないけれど、自分の思いを伝えたい、今いる環境を知ってもらいたい!とずっと思っていたので、今回、それを全部吐き出す形で描きました」
――小学生のころから絵を描くことが好きで、「絵を描く仕事がしたい」と考えていらっしゃったそうですね。念願が叶った今、どんなお気持ちですか?
「なんだかまだ夢みたいですね。自分の今までの人生がひとつ形として残ったことに、すごく誇らしい気持ちです。今まで大変なことがいろいろあったけど、決してムダじゃなかったな、と思っています」

――コミックエッセイなので、ライトなタッチで読みやすいですが、内容はかなり衝撃的ですよね。小学校の給食はできるだけおかわりするとか、高校ではブレザーが買えないとか。スマホも持てないので、LINEグループにも入れなかったり。
「『いろんな境遇の人がいるということを重くないタッチで知ることができて、子どもに読ませたいと思いました』という感想はうれしかったですね。いろいろな人に子どもの貧困について知ってもらうことを目標にしていたので、重く暗いテーマなのですが、さらっと読めることを一番意識して描いていました。なので、この感想をいただいて、自分が理想としていた伝え方ができたように思えました。
大人が書く貧困問題の本はたくさんありますが、子どもの目線で描いているものはあまりないと思うので、お子さんにもリアルに伝わるといいなと思っています」

唯一の家族である母。大変なことも多かったけれど、愛し続けてくれたことに感謝
――お母さまも読まれたのでしょうか?
「母には本が出ることは伝えましたが、直接渡して『読んでね』とは言っていないんです。母は書店で見たらしいのですが、内容については特に何も言ってきていないですね。でも、私が自分で考えて、がんばって行動して、ひとつのことを達成したことについてはとても喜んでくれています」
――お母さまの大らかで前向きな性格に助けられながらも、複雑な心境も描写されています。今はお母さまにはどんな思いを持っていますか?
「今、母が2年ほど仕事をしておらず、自分が働いて生活を支えています。まずそういう部分からして、普通の親子関係とは違うのかな、と思っています。
ずっと母と2人きりで暮らしていたので、母が絶対的に正しいと思ってしまう部分があって、母に言いたいことが言えず、母の意見に振り回されたりしたこともありました。社会に出て働き始めて、1人の大人として見られるようになって初めて、私はそんなに間違っていないし、母にも間違っている部分があるんだな、と客観的に見られるようになりました。
これからは母ともっと対等にお互い言いたいことを言って、対等に支えられる関係になりたいな、と思っています」

――大変な生活を送っている途中も、お母さまを恨むような描写は出てきませんね。
「もちろん、ストレスがたまることもたくさんあるし、大変なこともありますが、母が私を愛し続けてくれていることはきちんと感じていたので、嫌いになったりはしなかったですね。母を絶対的に頼れる存在だとは思っていませんが、母だけが自分に残された唯一の家族なので、自分なりに母の幸せも後押しできたら、と思っています」
取材・文=岡田知子(BLOOM)
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