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警備会社がドロボウ?知らない女性が勝手に出入り?不可解な義父母の話/子育てとばして介護かよ(3)

久しぶりに会った親が「老いてきたなぁ」と感じることはありますか?
著者の島影真奈美さんは31歳で結婚し、仕事に邁進する日々を送っていました。33歳で出産する人生設計を立てていたものの、気づけば30代後半!いよいよ決断のとき…と思った矢先、なんと義父母の認知症が立て続けに発覚してしまい…。
話題の書籍『子育てとばして介護かよ』から、仕事は辞めない、同居もしない、今の暮らしを変えずに親の介護を組み込むことに成功した著者の、笑いと涙のエピソード『警備会社がドロボウ?知らない女性が勝手に出入り?不可解な義父母の話』をお届けします。
※本作品は島影真奈美、川著の書籍『子育てとばして介護かよ』から一部抜粋・編集しました
知らない女性が勝手に出入りしているの
わたしの携帯電話に義父からの着信があったのは2016年10月のことだった。夫の浮気窃盗疑惑事件から半年ぐらい経っていた。留守番電話に「警察から連絡がいくかもしれないのでよろしく」とメッセージが残されていて、あわてて折り返した。
「ああ、真奈美さんですか。電話ありがとう。こちらは元気にやっています。そちらはどうですか」
電話に出た義父は思いのほか、落ち着いていた。声もおだやかで機嫌もいい。
「はい。おかげさまで元気に……いや、あの、そうじゃなくて、さっき留守電聞いたんですけど、警察からの連絡というのは?」
「ああ、あれね。どうもドロボウにやられたようで、今日警察署に届けてきました」
以前、義母が「主人は警備会社が留守中に忍びこみ、お金を盗んだと疑っている」
と話していたのを思い出す。その話が再燃したのだろうか。半信半疑で相づちを打つ。
「大変でしたね。おとうさん、おかあさんが無事でよかったです。……ちなみに被害に遭われたのはいつ頃ですか」
「数日前に買い物から帰ってきたら、部屋の様子がおかしくてね。すぐに110番通報したんだが、けしからんことに、警察官にやる気が見られない。真剣にとりあってくれんのですよ。仕方ないので、こちらから警察署のほうに出向きました」
現場に駆けつけた警察官には「もの忘れ」を疑われたという。さらに、警察署では家族の連絡先を書くように言われたと、義父は腹立たしそうだった。わたしもてっきり、義父母の記憶違いだろうと思って聞いていたけれど、考えてみれば空き巣被害の可能性もある。老夫婦ふたりでの戸建て暮らしは不用心にもなりやすい。
ただ、警察署に届け出たなら見回り強化など何かしら対応してもらえるかもしれないし、離れた子どもたちが騒ぎたてるよりも、かえってよかったのかも。
義父の毅然とした話しぶりにも安心する。さすが、おとうさん! しかし、話はそこで終わらなかった。
「持っていかれた現金はおそらく出てこないでしょうな。まあ、なくなったと言っても数万円だし、通帳は再発行すればいい。ただ、知らない女性が勝手に出入りするのだけはなんとかしてくれないと困るんだが……」
「え? 勝手に出入り……ってどういうことですか」
「くわしいことはよくわからんのですよ。家内に代わるので聞いてやってください」
いや、おとうさん、ちょっと待って。もう少しくわしく教えてください。引き留める間もなく、電話の向こうで「おーい、電話だぞ。おーい、おーい」と義父が叫び始めた。そして、義母が電話口に現れた。
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