食事が「作業」になってない? 自分のカラダの声を聞こう/がんばらないご自愛(2)

#くらし   
「いま食べたいものを食べよう」と意識

『万年不調から抜けだす がんばらないご自愛』 2回【全8回】


「完全に体調のいい日が1日もない!」という悩み、結構色んな人が抱えているかもしれません。
30代半ばの竹内絢香さんも漠然とした不調に悩まされていた一人でしたが、「ご自愛」のおかげで日々が少しだけラクになったそうです。

ここで言う「ご自愛」とは、自分の心やカラダがちょっとプラスになる行動や考え方のこと。

・どうしても気分が上がらないときは「日光」を浴びてみる
・楽しさや気持ちよさを求めて「運動」してみる
・不安な気持ちに支配されそうなときは、「瞑想」をしてみる
・自分の中にある「固定観念」を整理してみる

など、毎日がほんの少しラクになるかもしれない「誰でもできるご自愛」を、心療内科医の鈴木裕介先生の解説つきでご紹介します。

※本記事は竹内絢香著、鈴木裕介監修の書籍『万年不調から抜けだす がんばらないご自愛』から一部抜粋・編集しました


自分のカラダの声を聴く

仕事が忙しくなると…

「いま食べたいものを食べよう」と意識


忙しくなると、私が真っ先にないがしろにしてしまうのが「食」です。ストレスが胃腸に出やすいタイプなので、繁忙期は「なんかお腹ゆるい」がデフォルトなのですが、長年の習慣で「時間が来たら食べなきゃ!」が刷り込まれており、1日3回なんとな~くその辺にあるものに塩を振って胃に詰める…というのが常でした。そんな状態だったので、「いま食べたいものを食べる」といった一見当たり前のことが、私には思いのほか難しかったです。

「いま食べたいものを食べよう」と意識してみてわかったのは、食べることは日常の一部だけれど、「今のカラダの状態に耳を傾けて理解し・選んで・実行する」王道ご自愛なのだ! という気づきでした。つい、ながら食いしてしまう忙しい日々の中でも、「なんとなく食べる」を減らしていけたらいいなと思っています。

食事とメンタルヘルスの話

・心が不安定な時は、タンパク質、大豆類、ナッツ類、乳製品、バナナを摂るのがオススメ
・食欲は動物っぽい根源的な欲求。「自分が本当に食べたいものを食べる」感覚も大切に

食事とメンタルヘルスの話

まず最初に、食事とメンタルヘルスについて医者っぽいことを言います。心身の疲労が積み重なってくると、あらゆる意欲が消失し、五感も薄れてきます。また食べるものは糖質に偏ってくる傾向があります。

メンタルの安定に重要な「セロトニン」というホルモンがあります。このホルモンが欠乏すると、寝覚めが悪くボーッとしたり、不安が強くなったりして心のバランスを崩しやすくなります。いわゆる「抗うつ薬」と呼ばれるお薬は、このセロトニンに作用する薬が多いのです。

さて、心身の疲労が重なり食事が糖質に偏ると、セロトニンや他の重要なホルモンの原料となるタンパク質や脂質が摂れなくなり、ますますうつ傾向が進んでしまうといった悪循環に陥ります。なので、心が不安定な時はタンパク質や、セロトニンの原料になる「トリプトファン」という必須アミノ酸を豊富に含んだ大豆類、ナッツ類、乳製品、バナナを積極的に摂りましょう。豆乳バナナスムージーはコンビニで材料を揃えられるのでオススメです。


また、それと全く逆のことを言いますが、「理屈は置いといて、自分が本当に食べたいものを食べる」感覚も、一方ですごく大事だと思っています。頭で考えた「正しさ」や「効率」を優先しすぎると、自分自身が本当に求めているものがわかんなくなってしまうんですよね。

食欲は、動物っぽい根源的な欲求です。動物としての自分が、いまどんなものを求めているのかを感じるのは、自分の中にある欲求をつかんで、人生の舵取りをうまくすることにもつながるんじゃないかと思うんです。なんか矛盾したことを言っていますが、そういった理屈と情動のバランスが大事な気がしているんですよね。

今日 何食べたい?

「食べたいものがわかる」って実はすごいこと


●竹内 絢香:イギリス好きな漫画家&イラストレーター。著書に『英語力0(ゼロ)なのに海外営業部です』『がんばらなくても死なない』などがある

●鈴木 裕介:内科医・心療内科医。秋葉原saveクリニック院長。
著書に『我慢して生きるほど人生は長くない』『メンタル・クエスト 心のHPが0になりそうな自分をラクにする本』がある

著=竹内絢香、監修=鈴木裕介/『万年不調から抜けだす がんばらないご自愛』(KADOKAWA)

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