「一升餅のお祝い」のやり方は?一生に一度の記念を家族でお祝いしよう

#くらし   
赤ちゃんの1歳の誕生日を祝う「一升餅」のやり方を紹介

赤ちゃんの1歳の誕生日を祝う日本の伝統行事、一升餅。地方によって呼び方や方法は違いますが、赤ちゃんの成長を祝う風習として幅広い地域で行われています。

赤ちゃんにとって初めての誕生行事を家族みんなでお祝いしたいけれど、やり方や必要なものが地域によって異なるため、悩んでいるご家庭もあるかもしれません。そこで今回は子どもに関する日本の伝統行事に詳しい高橋真生さんにお話をうかがいつつ、お祝いにぴったりな一升餅アイテムを厳選してご紹介します。

▶︎教えてくれた人
高橋真生さん

学びと読書のアドバイザー、絵本専門士の高橋真生さん

学びと読書のアドバイザー・絵本専門士。教員・図書館司書の知識と経験を活かし、学習・読書支援に携わる。また、ことばや日本の伝統に関する疑問について、生活文化の伝承という視点から解説を行う。

一升餅のお祝いって?お餅に込められた意味とポイント

一升餅とは赤ちゃんの初めての誕生日を祝う伝統行事

一升餅とは、赤ちゃんが生まれて初めて迎える誕生日を、お餅を使ってお祝いする行事。誕生餅などとも呼ばれ、日本各地に伝わっていると高橋さんはいいます。

「由来は諸説ありますが、現在では、角のない丸い一升餅に『一生(一升)食べ物に困りませんように』『円満な人生を送れますように』などの願いを込めていると考えられています」(高橋さん)

一升餅の“一升”は、餅米の状態だと約1.5kg、お餅にすると約2kgもの重さがあります。一升餅を使ってどのようにお祝いするのかは地域によって異なりますが、赤ちゃんに背負わせたり、踏ませたりするなどしてお祝いする場合が多いようです。

歩ける歩けないに関わらず、赤ちゃんの成長を家族でお祝いできればOK!

赤ちゃんの中には、1歳の誕生日を迎える前に自分で歩きだす子もいれば、そうではない子もいるでしょう。一升餅のお祝いのときに赤ちゃんが歩くかどうかを気にしてしまう場合もあるかもしれませんが、一升餅のお祝いは赤ちゃんの成長を祝う行事。こだわりすぎる必要はありません。

また、一升餅のお祝いで赤ちゃんが歩くことをどう捉えるかも、地域によって異なると高橋さんはいいます。

「1歳を節目とし、ここからは自分の足で歩いてほしいと考えて靴や靴下をお祝いに送る地域もあれば、早く歩き始めた赤ちゃんの厄落としのために転ばせる、もしくは転ぶまねをさせてお祝いする地域もあります。やり方や風習の違いはあれど、赤ちゃんの成長をお祝いすることに変わりはありません。おおらかな気持ちで楽しめるといいですね」

一升餅のやり方は?種類や選び取りについて

一升餅のやり方

先ほども紹介したように、一升餅のやり方は地域によって異なります。中には、同じ都道府県なのに隣町で違うなんてこともあるほど。ですが、今回は一般的に多いといわれている「背負い餅」と「踏み餅」についてご紹介します。

背負い餅のやり方

背負い餅

背負い餅は、赤ちゃんに一升餅を背負わせてお祝いする方法。お餅は、風呂敷やリュックなどで背負わせましょう。そして、赤ちゃんの反応を見守ります。

「赤ちゃんが一升餅を背負ったまま立ち上がれば『立てたね、成長したね』と喜び、立ち上がらなかったり転んだりしてしまったら『親元に長くいてくれてうれしいね』と喜ぶ。楽しい雰囲気の中で、みんなで赤ちゃんの反応を見ながらお祝いできるといいでしょう」

踏み餅のやり方

踏み餅

草鞋(わらじ)を履いた赤ちゃんが一升餅を踏む方法を、踏み餅といいます。赤ちゃんをお餅の上に立たせる地域もあれば、立たせた後に赤ちゃんを転ばせる地域もあります。

「踏み餅には『しっかり人生を歩けるように』などの願いが込められています。立つのが難しい場合は、大人が赤ちゃんを支えて、足先を触れさせてあげるだけでもかまいません。赤ちゃんを見守りながらお祝いしてあげたいですね」

選び取り

選び取り

一升餅のお祝いと一緒に行われることが多い選び取り。これは、赤ちゃんの将来を占う儀式として行われています。職業を連想させる物を赤ちゃんの前に置き、赤ちゃん自身に選ばせます。赤ちゃんが好きな色や形に左右されないよう、物のイラストが白黒で描かれたカードを用意するご家庭もあるようです。

選び取りのアイテムの一例をご紹介します。
・お金→お金に困らない、お金持ちになる
・ペン→学者になる、勉強ができるようになる
・計算機→商人になる、計算が得意になる
・スプーンやお箸→食べるものに困らない
・包丁→料理人になる
・ハサミ→デザイナーや美容師になる
・ボール→スポーツ選手になる
・楽器→音楽家になる
・聴診器→お医者さんになる

物から連想されるものであればなんでも構いません。家族の職業に関連する物を置き「家業を継いでくれるかな」と占うこともあるようです。聴診器や包丁など、身近でない物や赤ちゃんが手に取って危ない物は、おもちゃで代用できます。

「選び取りの準備をしている間は、赤ちゃんに物を見せないのがポイント。並べているのが見えてしまうと、赤ちゃんが気になってソワソワしてしまう場合もあります。準備中は赤ちゃんを別室で待機させるか、見えないよう後ろ向きに抱っこするなどしておくといいかもしれませんね」

また、神社やレストランなどでお祝いするなら、一升餅と選び取りの両方ができる場合と、一升餅のお祝いだけで選び取りは別日に自分たちで行う場合などがあります。その際、選び取りのアイテムには何を用意するのか、いつ行うのかなど事前に確認しておきましょう。

なお、選び取りを行う際は、赤ちゃんの安全のため、背負わせたお餅などは一度おろしてから行うようにしてください。

一升餅のお祝いを楽しむためのポイント

泣いてもOK!お祝いを楽しもう
日本ではかつて、新年を迎えるごとに1歳加える数え年という考え方をしていたため、現代のように誕生日をお祝いすることがあまりありませんでした。それでも、1歳の誕生日だけは特別でした。栄養面などから死亡率も高かった中で、1年無事に生きてこられたことを祝福する行事として現代にも伝えられています。

「たとえ泣いてしまっても、それは赤ちゃんが元気な証拠。赤ちゃんの多くは泣きながら産まれてきますが、一升餅のお祝いで泣くことには『改めて社会に産まれてくる、社会に認められる』という意味もあります。泣いてばかりでも問題はありませんし、成長を他の子と比べる必要もありません。こだわったり焦ったりせず、ゆったりとした気持ちで楽しみましょう」

お祝いのやり方や規模を夫婦で決めておく
一升餅のやり方は地域によって異なるので、夫婦の出身地が違う場合は、「どっちの親が育った地域のやり方にした方がいい?」など疑問に思うかもしれません。また、家族だけ・祖父母も一緒に・親戚も呼んでホテルでなど、お祝いの規模はご家庭によってさまざまです。どちらに合わせなければいけないという決まりはないので、どのようにお祝いするのか夫婦で事前に相談しておくとスムーズです。

また、夫婦共に地元から離れて暮らしているなら、今住んでいる地域のやり方に合わせるというのもいいでしょう。地域になじみ、その土地や風習への理解につながるかもしれませんね。

風呂敷の使い方とリュックの選び方に注意して、けがに気を付ける
約2kgもある一升餅を背負うのは、赤ちゃんにとって大きな負担となります。一升餅を風呂敷に包む場合は、必ず片方の脇の下に風呂敷を通し、襷掛け(たすきがけ)のような形で背負わせましょう。脇を通さず首の前だけで風呂敷を結んでいると、一升餅の重さで首が閉まってしまう可能性があり注意が必要です。

風呂敷を使うときはけがに気を付けて!


また、一升餅をリュックに入れて背負わせるなら、肩ひも(ベルト)の幅が広いタイプを選びましょう。幅が狭いタイプやひもだと、赤ちゃんの肩に食い込んで痛い思いをしてしまうかもしれません。安全面を十分に考慮しながら、1歳の誕生日をお祝いしてください。

お餅や初めて食べる物は避ける
一升餅のお餅は、お祝いの後で家族や招待した人たちと一緒に食べたり、分けて持ち帰っていただく場合が多いです。お祝いの品ではありますが、赤ちゃんにお餅を食べさせるのはNG。離乳食が進んでいても口に入れてはいけません。お餅以外にも、お祝いの食事の席で赤ちゃんが初めて食べる物を与えるのは控えた方がよいでしょう。

食紅を使うときはアレルギーや皮膚への付着に気を付ける
一升餅のお祝い用に、お餅や食紅がセットになった商品もあります。食紅はアレルギーを引き起こす可能性があるので、お餅と同様に気を付けたいところです。また、食紅は皮膚等に付くと落ちづらいこともあり、体を強く洗うのは肌の弱い赤ちゃんには大きな負担となるので、食紅を使う際には注意してください。

赤ちゃんから目を離さない
わが子の大切な記念日を写真や映像で残したいというママやパパも多いでしょう。ですが、近くにいるからといって、赤ちゃんから目を離したり、支えている手を離したりしてしまうのはいけません。特に、背負い餅や踏み餅をしている間は、いつ転倒しても支えられるように、両手を空けて赤ちゃんの側で見守りましょう。

一升餅のお祝いに必要な物

伝統を重んじるなら一升分の丸餅、最近はパン、バームクーヘンなどもよく使われる

お餅はお祝いの席で用意される神聖な物と考えられ、丸い形には「円満」の意味が込められてきました。

最近では、赤ちゃんの成長に合わせて重さを調整したり、お祝い後に分けやすくするために小分けにされたお餅を用意したりする場合もあるようです。さらに、一升餅と同じ重さのお米やパン、バームクーヘンなどを使うやり方も見られます。ご家庭に合わせて、自由に選んでみてはいかがでしょうか。

背負い餅ではお米を包む風呂敷やリュックが必要

背負い餅を行う場合に使う包みですが、小さすぎると一升餅が入らない場合もあるので、あらかじめ大きさを確認してから選ぶと安心です。

【編集部厳選】一升餅のオススメ商品

ここからは、編集部が厳選したおすすめの一升餅のお祝いセットをご紹介。ぜひ、こちらを参考に、一歳のお誕生日をお祝いしてみてください。

”ガーランドもち”がお祝いの席を華やかに『おぢか屋 一升餅セット<366>』

おぢか屋 一升餅セット<366>

一升餅専門店が昔ながらの製法で作っている、味と安全にこだわった一升餅です。背負い袋や選び取りのカードだけでなく、名前や生年月日入りの掛け軸や、ガーランド(オーナメントをひもやワイヤーなどでつないだ室内インテリア)にも使える小さな丸餅がセットになっているのも特徴です。

「食紅などを使っていない、無添加なところが魅力的です。選び取りで選んだカードを掛け軸に貼って写真を撮るというのも記念になると思います」


自分好みに22プランから選べる『なないろ広場 一升餅 お祝い9点セット』

なないろ広場 一升餅 お祝い9点セット

一升餅の形や数を選ぶことができます。1個で一升はもちろん、赤ちゃんが背負いやすく、分けやすいように、2個で一升や8個で一升などさまざま。ハートの形をしたかわいらしいお餅もあり、全22プランから選べます。ガーランドや風呂敷、選び取りカードなどが入った、充実した内容の9点セットです。

「紹介されている22プラン以外にも、双子や三つ子のお子さんにも対応できるというのはうれしいですね。それぞれの家族の形に合わせて一升餅を選ぶのがいいと思います」


ARフォトフレームで記念写真も!『季膳味和(ときぜんみわ)一升餅お祝いセット』

季膳味和(ときぜんみわ)一升餅お祝いセット

重さを調整しやすい紅白の小さな丸餅60個入り。親戚などにお餅を分けるときにも便利です。セットに入っている選び取りカードの裏面にはQRコードが付いており、スマホをかざすと絵柄にちなんだARフォトフレームが出現。思い出の一枚をスマホで気軽に楽しめます。

「フォトフレームには選んだカードの意味まで出てきます。選んだ物とその意味をスマホで簡単に残せるのがいいですね」


自分たちで一升餅をデコレーション♪『うさもち 一升餅お祝いセット』

うさもち 一升餅お祝いセット

一升餅と一緒に赤、青、黄、緑の4色の食紅がセットになっています。真っ白な一升餅に名前を書いたり手形や足形をとったりなど、楽しみ方はさまざま。発送当日にお餅を作っているのでおいしくいただけます。

「オリジナリティーあふれる一升餅を用意できるのは魅力的。手形をとる様子をみんなで見守るのもお祝い時のイベントになりそうですね。ただし、先ほど説明したように、食紅を使う際には、アレルギーや皮膚への付着には十分注意を払ってください」


安心オーガニックの“一升パン”『オーガニック一生パンとリュックのセット』

オーガニック一生パンとリュックのセット

一升餅とほぼ同じ、約1.6kgの大きなパンで1歳の誕生日をお祝いできます。名前はローマ字などにも対応し、名前の周りを囲むデザインは7種類から選べます。完全無添加で卵や乳製品は一切不使用。パン粥などにすれば赤ちゃんも一緒に食べることができます。

「日本の伝統行事では主に餅が使われますが、ヨーロッパなどでは伝統的にパンを神聖な物として扱ってきました。円満を表す丸い形をしていることもあり、代用品として使ってもよいアイテムではないかと思います」


一升餅のお祝いセット全部入り!『一升餅 まんぷくセット』

一升餅 まんぷくセット

柔らかい草鞋や風呂敷、ガーランドに選び取りなど、お祝いのために準備する物が全部入ったうれしいセット。背負い餅と踏み餅のどちらのお祝い方法にも対応しています。7種類の草鞋に9種類の風呂敷と、選べる幅も広いです。

「一升餅のお祝いのやり方に迷っているなら、あらゆる方法に対応できるよう準備しておくのもいいかもしれません。絵柄がかわいらしい一升餅だけではなく、書道有段者による名入れのサービスもすてきです」


桐箱入りの高級感のある一升餅『桐箱入り 一升餅』

桐箱入り 一升餅

小分けにされた小さな一升分の丸餅が桐箱に入って届きます。桐箱には名前も入り高級感あふれる仕様です。長さが調整できるアジャスター付きのリュックも付属。柄は、いちご柄と黄色と青色のスクールバス柄の2種類から選べます。

「桐箱は高級感があり、それだけでお祝いの格式をアップしてくれるかもしれません。桐箱は長期保存に適しているので、お祝い後でも赤ちゃんの思い出の品を収納するのに使い続けてみるのもよさそう」


最高級の餅米を使った一升餅『一升餅 紅白セット』

一升餅 紅白セット

創業明治18年の和菓子屋さんが作る、新潟県産の最高級餅米「こがねもち」を使った一升餅と風呂敷のセットです。36個の紅白丸餅を注文すると、砂糖入りのきな粉も付いてきます。

「自分たちだけではなく親戚やご近所の方にもお餅を分けることを考えているなら、品質にこだわるのもよいかもしれません。紅白の色合い、小分け袋で密封されている点も実用的だと思います」


大きな鯛が描かれたこがめもちを100%使用『わたえいの、めでたい一升餅』

わたえいの、めでたい一升餅

新潟・越後にある老舗白玉屋さんで作られた、新潟県産こがねもちを100%使った一升餅です。大きく描かれた鯛はお祝いの席にぴったり。食品衛生優良施設にも認定され安全面もお墨付き。風呂敷と草鞋、選び取り、アルバムなど、一升餅のお祝いで使うものがそろった便利なセットです。

「百貨店などでも取り扱いのある老舗店で作られた一升餅。安心、安全なものを選びたい人にもおすすめです。背負い餅と踏み餅、どちらにも対応しているのもうれしいですね」


一升餅の代わりに“一升米”でお祝い『emoka(エモカ)ベビーリュック&一升米セット』

emoka(エモカ)ベビーリュック&一升米セット

最近では、一升餅に代わって約一升分のお米を使った“一升米”を使ってお祝いする場合も。お餅と比べてお祝い後に食べやすく、離乳食として赤ちゃんも一緒に食べることもできます。名前入りのリュックは、普段使いにもよさそう。


ミニ米俵がかわいらしい『一升米俵』

一升米俵

一升分のお米を小さな米俵に入れた一升米。米俵は畳職人の手で一つずつ編まれ、イグサのいい香りも楽しめます。不織布風呂敷もセットになっていて、ロープのように絞って襷掛けをすれば、米俵を背負えるようになっています。


1歳の誕生日を一升餅でお祝いしよう

最後に高橋さんから、一升餅のお祝いをするママやパパへのメッセージです。

「ここまで無事に成長してきた赤ちゃんと、ここまで一生懸命育ててきたママとパパが楽しんで、喜んで、幸せな時間を過ごしていただければそれが一番だと思います。地域などによってやり方が違うと悩んでしまうかもしれませんが、心からお祝いすることが大切です。

赤ちゃんがまだ幼いので記憶には残らないかもしれませんが、一升餅のお祝い含めて他の行事も、楽しかったという思い出は積み重なっていきます。『いま楽しい』『昨日楽しかった』の思い出の積み重ねで、人生はできていくのではないでしょうか。

忙しい中で思うように準備ができないこともあるかもしれませんが『おめでとう』『うれしいね』という気持ちを家族の中で共有する。そんな時間を過ごせるとよいですね」

取材・文=みりた

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