肉汁がたまらん! ふっくらジューシーな仕上がりになる「鶏の照り焼き」【プロが教える和食の基本】

#食   
二番だしで煮た玉ねぎが調味料

『プロが教える和食の基本 素材の旨味を引き出せば究極に美味しくなる』 3回【全10回】


普段使いの食材や調味料で作るいつもの味に飽きてきたら、プロの技を試してみませんか?
「美味しさには理由がある」「なぜ美味しくなるのか?」という考え方に重点を置き、和食の定番料理を中心にプロのコツを紹介してくれるのは、料理人の関斉寛さん。
味に差がつくひと手間を踏まえながら、家庭で極上の料理を作るコツをお送りします。

鶏の照り焼き

二番だしで煮た玉ねぎが調味料

二番だしで煮た玉ねぎが調味料。
ふっくらジューシーな仕上がりに

主な旨味成分

鶏肉(イノシン酸)
二番だし(イノシン酸、グルタミン酸)
玉ねぎ(グルタミン酸)

◆材料(2人分)
鶏もも肉 1枚(300g)
玉ねぎ(厚さ1cmの輪切り) 1枚
里いも(皮を厚くむき縦半分に切って面取り)2個
甘長唐辛子 2本
二番だし(作り方は下記参照)180ml
塩 少々
小麦粉 適量

<たれ>
A
 濃口しょうゆ 45ml
 酒 45ml
みりん 30ml
砂糖 9g
サラダ油 12g

◆作り方

1 鍋に二番だし、玉ねぎ(一)、里いもを入れて火にかけ、沸いてきたら弱火にして柔らかくなるまで15分ほど煮る。

玉ねぎを二番だしで煮て調味料にする

(一)玉ねぎを二番だしで煮て調味料にする
付け合わせ野菜も調味料になります。玉ねぎの甘さ、里いものこくを利用して最後にたれの味をまとめます。

2 鶏肉は余分な皮、筋、脂を除き、厚い部分は均一に開く。包丁の先で皮に切り込みを入れ、両面に薄く塩をふる。水気を拭いて、小麦粉を薄くまぶす(二)。

小麦粉をつけるとこんがりとした焼き色がつく

(二)小麦粉をつけるとこんがりとした焼き色がつく
鶏肉に小麦粉をふって密着させたあと、よく払います。ハケを使用すると滑らかな仕上がりになります。

3 フライパンに油を熱し、鶏肉を皮目から入れて(三)弱めの中火で焼く。焼き色がついたら返し、裏面も焼き色がついたらバットに上げる(四)。

鶏肉は皮目から入れ脂の旨味を引き出す

(三)鶏肉は皮目から入れ脂の旨味を引き出す
押さえずにじっくり焼きます。皮から鶏の美味しい脂が出るのでそれをふわーっと引っ張り出します。

鶏肉は一度休ませ余熱で火を通す

(四)鶏肉は一度休ませ余熱で火を通す
表面が焼け、中心は完全に火が入っていない状態で休ませることで、しっとりとした仕上がりになります。

4 フライパンに1の玉ねぎ、里いもを煮汁ごと加えて火にかけ強火にする。たれのA、砂糖、みりんの半量を加え、甘長唐辛子を加える。たれをかけながら煮詰める(五)。

だし、野菜、鶏皮の旨味が合わさったたれをかけ煮詰める

(五)だし、野菜、鶏皮の旨味が合わさったたれをかけ煮詰める
フライパンに残った脂や焦げも鶏の旨味。調味料を足して、野菜をたれの中で転がしながら煮ます。

5 野菜を取り出して弱火にしたら、鶏を戻し入れ(六)、残りのみりんを加え、たれをかけながら煮詰める。(みりんは2回に分けると艶が出る)

二度焼きすることでふっくら仕上がる

(六)二度焼きすることでふっくら仕上がる
戻し入れる瞬間、まだ鶏に完全には火が入っていません。常にたれをかけながら風味をのせて仕上げます。

6 幅3cm程度に切り、器に盛り、野菜を添える。

中に火が通りすぎず、肉汁がジュワッと出る焼き加減

中に火が通りすぎず、肉汁がジュワッと出る焼き加減です。

美味しいだしの取り方

昆布だし

湯冷ましした軟水で、旨味を引き出す。
あっさりとした鍋物や煮物に

◆材料(作りやすい分量)
昆布 10cm角
水 1L

◆作り方
鍋で湯を沸かし、火を止めて人肌まで冷ます。ボウルに入れ、表面をさっと拭いた昆布を加え、冷蔵庫で一晩(8〜10時間)浸す。

湯冷ましした軟水で旨味を引き出す

湯冷ましした軟水に浸しておくと旨味が格段に違う。

一番だし

澄み切った黄金色。
吸い物など、だし自体を味わう料理に

◆作り方
1 昆布は沸く前に取り出す
昆布だしを鍋に移し火にかける。60℃位で昆布を取り出して香りが飛ぶのを防ぐ。

昆布は沸く前に取り出す


2 アクをよくすくう
そのまま沸かしてアクをよく取る。雑味がなくなる。火を止め粗熱を取る。

アクをよくすくう


3 温度を測る
温度が下がり、80℃になったら4の工程へ。1℃違うと風味が変わるので測る。

温度を測る


4 かつお節を加える
80℃になったら、かつお節を加え、沸騰しない火加減をキープし1〜 2分煮出す。

かつお節を加える


5 静かに流し入れてこす
ボウルにザルを重ねてさらしを敷き、 4をこす。かつお節は押さない。

静かに流し入れてこす


6 冷蔵庫で2日保存可能
5のとき、ボウルに菜箸を渡して、その上にザルをのせるとこしやすい

冷蔵庫で2日保存可能


二番だし

調味料やうま味成分を補って土台として使用

◆材料(作りやすい分量)
A
 昆布(一番だしを取ったもの) 1枚
 かつお節(一番だしを取ったもの)全量
B かつお節 10g
水 1L

◆作り方
1 追いがつおをする
鍋にAと水を入れて火にかけ、沸いたら20分ほど煮て、Bを加え、4〜5分ほど煮る。

追いがつおをする


2 かつお節はしっかり押す
ボウルにザルを重ねて、さらしを敷き、1をこす。冷蔵庫で2日保存可能。

かつお節はしっかり押す


レシピを参考にするときは

・「旨味」とは、「素材が本来持つ美味しさ」の意味、「旨味成分」とは、たんぱく質を構成するアミノ酸(グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸)の意味で記載しています。

・特に記載がない場合は、砂糖は上白糖、塩は自然塩、酢は穀物酢、酒は清酒、みりんは本みりん、小麦粉は薄力粉、梅干しは塩分8%を使用しています。

・液体の5mlは小さじ1、15mlは大さじ1、200mlは1カップで計量できます。

・水溶き片栗粉は、片栗粉と水を1:1の割合で混ぜた分量を記載しています。

・黄ゆず、木の芽、白板昆布以外は、スーパーで購入した食材と調味料を使用しています。

・野菜類、きのこ、豆類、果物は、特に記載がない場合、洗う、皮をむくなどの作業をすませてからの手順です。

・フライパンは鉄、鍋はアルミの雪平鍋を使用しています。

・特に記載のない場合、火加減は中火です。

※本記事は関斉寛著の書籍『プロが教える和食の基本 素材の旨味を引き出せば究極に美味しくなる』から一部抜粋・編集しました



著=関斉寛/『プロが教える和食の基本 素材の旨味を引き出せば究極に美味しくなる』(KADOKAWA)

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