時間が経ってもやわらかで、おうちで焼くにはぴったり!「白パン」/パン作りが楽しくなる本(2)

#食   
ほんのり甘く、もちもち食感

『はじめてでもコツがわかるから失敗しない パン作りが楽しくなる本』 2回【全6回】


2018年からYouTubeで活動を始め、なぜこの材料が入るのか、なぜこねるのか、なぜ発酵が必要なのか、なぜこの温度で焼くのか…という「意味を知ってもらうこと」を大切に、わかりやすいパン作りの動画を配信している完全感覚ベイカーさん。

完全感覚ベイカーさんのレシピなら、パン作り初心者も安心! 今まで作ったことがある人も、パン作りの「どうして?」が作りながら学べるので、パン作りがより楽しくなること間違いなしです。
ふんわり、もっちり、バリバリなど、でき上がりの食感(ゴール)をイメージしながら、お家でおいしいパンを作りましょう!

※本記事は完全感覚ベイカー著の書籍『はじめてでもコツがわかるから失敗しない パン作りが楽しくなる本』から一部抜粋・編集しました。


白パン

ハイジの白パンみたいなかわいい形

ほんのり甘く、もちもち食感が人気の白パンは、時間が経ってもやわらかで、おうちで焼くパンにぴったりです。しっとり仕上げるコツは、低温&短時間で焼くこと。温度や時間のかげんでパンの食感がどう変化するのか、実感してみてください。ハイジの白パンみたいなかわいい形は、菜箸を使って簡単に成形できます。1つ1つ違った表情を見せてくれるので、焼き上がりが楽しみなパンです。

HOW TO BAKE WHITE BUN

目指す食感:もちもち
学びのポイント:やわらかく焼き上げる方法

材料(6個分)

強力粉 … 260g
水あめ … 26g
塩 … 4g
ドライイースト … 3g
牛乳 … 182g
バター(食塩不使用) … 13g
(生地量 … 488g)

その他
強力粉 … 適量

memo 水あめ

水あめ

主成分は麦芽糖で、焼き色がつきにくい特性がある。保水性があるため、しっとりふんわりしたパンに焼き上がる。

準備

・材料をデジタルスケールで量る。(1g単位できっちり量る)
・バターは室温においてやわらかくする。
・水あめがかたいときは、電子レンジで10秒ほど温めてやわらかくする。
・牛乳は40℃前後に温める。電子レンジ(600W)加熱なら30~40秒が目安。
(イーストが活発に働く温度は32~35℃。生地の温度が冷たいと発酵しにくいため、温めた牛乳を使う。)


作り方

◆生地作り<ボウルの中でまとめる>

1 ボウルに強力粉、水あめ、塩、イーストを入れ、温めた牛乳を加える。

強力粉、水あめ、塩、イーストを入れ、温めた牛乳を加える


2 ゴムべらを使い、粉と水分がなじむようにひとまとまりになるまでまぜる。

粉と水分がなじむようにまぜる

水分を押し出すイメージで

・水あめと牛乳の役割
水あめは約20%が水分のため、しっとりとした生地になりますが、ベタついて少しこねにくいです。そこで、生地を引き締める効果がある牛乳を使用し、こねやすさをフォローします。ちなみに水あめを同量の砂糖に置きかえるのはNG。含む水分量が異なるため、生地の状態に影響します。

<台の上でこねる>

3 カードを使って生地を台にとり出す。ボウルの内側やゴムべらについた生地もカードを使って残さず集める。

カードを使って生地を台にとり出す


4 生地を半分にたたみ、手のひらのつけ根でぐっと下に押し、遠くまでのばす。これをくり返す。最初は手につくが、よくこねると次第にまとまる。生地に弾力が出るまでこねる。

生地を半分にたたみ、ぐっと下に押し遠くまでのばす


5 こね始めに比べると弾力が出て、手を離したときに生地の元に戻る力が強くなったらバターを入れるタイミング。

手を離したときに生地の元に戻る力が強くなったらバターを入れるタイミング


・バターを入れる段階の見極めポイント
1 押すと弾力があり、生地の元に戻る力が強い
2 粉っぽさがなく均一な状態
バターを入れてさらにこねるため、生地は多少荒れていてもOK!

<バターを入れてこねる>

6 生地を広げ、中央にバターをのせる。

生地を広げ、中央にバターをのせる


7 生地を折ってかぶせる。手のひらのつけ根で押さえ、ぐりぐりとさせて生地の中でバターをすり込むようにしながら手順4と同様にこねる。最初は生地がちぎれやすいが、2~3分するとなじむ。

生地を折ってかぶせる


・バターの役割
バターが入ることで、コクのある風味豊かなパンになります。また、バターを練り込むと生地が伸びやすくなり、焼くときにふくらんでボリュームが出ます。ただ、油脂はグルテンのつながりを邪魔するため、7〜8割程度こねてから加える必要があります。

8 バターがなじんだら生地を丸めて両手で覆い、左右前方に交互に転がしながらこねる。台との摩擦で、生地の表面がなめらかになる。80~100回が目安。

バターがなじんだら生地を丸めて転がしながらこねる


POINT 疲れたら休んでもOK!
生地はこねる以外に、休ませることでもグルテンがつながるので、疲れたら少し休んで再開しても大丈夫。乾燥防止に生地にラップをかけておくと安心。

9 生地を丸める。両手を沿わせ、小指の側面を使って生地の外側を下に入れ込むようにしながら、台の上で何度か回転させる。

生地を丸める


10 生地えおゆっくりと引っ張って伸ばす。薄い膜(グルテン膜)が張り、反対側の指が透けて見えればOK。均一に伸びなかったり、膜がすぐにちぎれたりするなら、さらにこねる。

生地の端を、ゆっくりと引っ張って伸ばし、反対側の指が透けて見えればOK


・いい生地の見極めポイント 〜よくこねる生地〜
1 表面がつるんとなめらか
2 押すと弾力がある
3 グルテン膜が薄く張る

◆一次発酵

発酵温度 35˚C
発酵時間(オーブン)50-60min


11 ラップをして一次発酵させる。オーブンの発酵機能を利用し、35℃で50~60分にセットする。およそ2倍の大きさになるのが目安。

ラップをして一次発酵

発酵前 ラップをかけて!

およそ2倍の大きさになるのが目安

発酵後

POINT 生地の大きさで判断する
粉や水の温度、こね具合などで、生地の発酵がゆっくりになることもあるので、時間ではなく、生地が2倍にふくらむことを判断基準にする。ふくらみが足りない場合は5分ずつ時間をのばす。

<フィンガーテストをする>

12 発酵の状態を確認する。指に強力粉をつけ、生地に差し込んで引き抜く。穴があいたままなら、発酵は完了。

フィンガーテストをする


<ガス抜きをする>

13 上からやさしく押さえ、生地の中にたまったガスを抜く。全体をまんべんなく押さえる。気泡がある場合はつぶしてOK!

ガス抜きをする


<分割する>

14 生地を計量する。発酵のときに使ったラップを使い回してOK!

生地を計量する


15 カードで6分割する。

カードで6分割する

POINT 半分に切ってから3等分する
生地を半分にカットしてから、それぞれを放射状に3等分すると、大きさがそろいやすい。切る前にカードを軽く押し当てて目安線をつけても。

16 全量の重さをもとに1つ分の重さを計算し、均等になるように調整する。少ない場合は、多い生地から少し切って足す。

全量の重さをもとに1つ分の重さを計算し、均等になるように調整

なるべく正確に!

・正確に分割する理由
大きさにバラつきがあると、焼き上がりに差が出ます。同じ天板に並べて同じ時間焼くため、ほかよりも小さく分割したパンは、中の水分がやや飛んでしまうことも。分割はなるべく正確に!

<丸める>

17 生地の外側を下に入れ込むようにして丸くする。小指の側面で生地を押して、手の上をすべらせるイメージ。裏側はつまんでとじ、とじ目を下にしておく。

生地の外側を下に入れ込むようにして丸くする


POINT 丸めた順番がわかるようにする
ベンチタイム後の成形は先に丸めた生地から作業したいので(後で丸めた生地もじゅうぶん休ませたい)、丸めた順番がわかるように台の上におく。

<ベンチタイム 10分>

18 ラップをかけて室温で10分休ませる。

ラップをかけて室温で10分休ませる


・ベンチタイムの長さはパンによって違う
成形しやすくするために生地を休ませる時間のことを「ベンチタイム」と言います。時間は、成形が複雑になるほどやわらかさが必要になるので長めにとり、単純な成形の場合は短めになります。この本では、分割後丸める作業がない、プチフランスやリュスティックはベンチタイムをとりません。

◆成形
19 生地の全体に強力粉をたっぷりまぶし、とじ目を下にして台に並べる。

生地の全体に強力粉をたっぷりまぶし、とじ目を下にして並べる

POINT 小さい容器を使うとラクにまぶせる
強力粉を容器に入れ、そこに生地を入れてまぶせば、深さがあるので効率よく作業ができる。台の上で粉を振るより、片づけもラク。

・強力粉をたっぷりまぶすのはなぜか
白パンはふんわりとした食感にしたいため、焼き上がりがパリッとする米粉ではなくて、強力粉をまぶします。また強力粉をまぶすと、焼くときに色がつきにくく、白く仕上がります。粉のまぶし方が足りないと、焼き色にムラが出るので、生地全体にたっぷりとまぶしてください。

20 生地の中央に菜箸を1本あて、台にあたるくらいまでしっかりと下まで押しつける。菜箸を上下に転がし、2cm幅くらいの溝を作り、クッキングシートを敷いた天板に並べる。

生地の中央に菜箸をあて、台にあたるくらいまで押しつける

広めの2cm幅を目標にしっかりとコロコロ

POINT 思いきって太い溝を作る
最終発酵で生地がふくらむため、溝が狭いと焼き上がりに線が入らず、ただの丸パンになってしまう。菜箸をしっかりと押しつけ、強めの力で転がして太い溝を作って。

◆最終発酵

発酵温度 35˚C
発酵時間(オーブン)30-40min


21 ラップをかけて最終発酵させる。オーブンの発酵機能を利用し、35℃で30~40分にセットする。ひと回り大きくなればOK。発酵終了後、オーブンの予熱(150℃)を開始する(生地はラップをかけて待機)。

ラップをかけて最終発酵

発酵前 ラップをかけて!

ひと回り大きくなればOK

発酵後

POINT ひと回り大きく!が目安
成形時の力かげんやオーブンのくせなどによって、発酵が遅くなることも。時間ではなく、ひと回り大きくなることを目安にする。

・温度と焼き時間でパンはどう変わるのか
白パンのように低温で焼き時間が短いと水分が多く残り、やわらかくもちもちした食感になります。逆に、高温で長時間焼くと水分が飛んで軽い食感に。バゲットがその代表格ですね。温度と焼き時間の調整がわかると、作れるパンの幅が広がります。

◆焼成

温度 150˚C
時間 12-15min


22 150℃のオーブンの下段に入れ、12~15分焼く。網にのせて冷ます。

150℃のオーブンの下段で12~15分焼く

網にのせて冷ます


白パンをアレンジ バットで焼くちぎりパン

バットで焼くちぎりパン

白パンと同じ生地で、分割を変えるだけで、もちもちのちぎりパンも焼けます。

1 手順1~13までは白パンと同様に作り、生地を12分割して丸める。

2 耐熱性のバット(*)にクッキングシートを敷き、生地の間隔をあけて並べ(写真左)、手順21と同様に最終発酵させる。

3 強力粉を茶こしで振り(写真右)、手順22と同様に焼く。焼き上がったらバットから出し、網の上で冷ます。

白パンと同じ生地で、分割を変えるだけで、もちもちのちぎりパンに

*バットのサイズは、約21×16.5×3cm/容量570ml

レシピを参考にするときは

・強力粉は「カメリヤ」、薄力粉は「バイオレット」を使用しています。ほかの商品を使って作る場合は、加える水分量が多少変わる可能性があるので、様子を見てかげんしてください。
・砂糖は「上白糖」を、バターは食塩不使用のものを使用しています。
・生地を発酵させるときは、オーブンの発酵機能を利用しています。
・生地の発酵状態が見えやすいように、一部ラップを外した状態で比較しています。
・オーブンの焼成温度と時間は電気オーブンを基本にしています(ガスオーブンの場合は温度を10℃下げる)。機種によって焼き具合に多少差があるので、レシピの温度と時間を参考に、様子を見て調整してください。

著=完全感覚ベイカー/『はじめてでもコツがわかるから失敗しない パン作りが楽しくなる本』

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