【ワンコ16歳】SNSで老犬の旅立ちを見るたび泣けてきて。私にもいつか「またね」と言える日が来るのかな

#趣味   
SNSで老犬たちの投稿を見て

『老いゆく愛犬と暮らしたかけがえのない日々 ワンコ17歳』2回【全6回】


17歳11か月まで生きたワンコの飼い主、サエタカさん。ワンコとの出会いは2004年の7月、新聞の地域情報コーナーで見つけた子犬の引き取り手を探す小さな投稿がきっかけだったと言います。

そうして家族に迎えられたワンコも歳をとり、いつしか介護が必要な老犬に。「うちのコは永遠に元気」となかなか現実を受け入れられずにいましたが、そんな時にTwitterで見かけたのが「#秘密結社老犬倶楽部」というハッシュタグ。全国の老犬たちと飼い主さんの愛あふれる様子に勇気づけられ、「私も」と始めた投稿が大きな反響を呼びました。

老犬介護はとても大変だけれど最高にかわいい——。サエタカさんが綴ったワンコとの日々の記録から、16歳のエピソードをご紹介。何気ない毎日の中で感じる、幸せとせつなさに胸が打たれます。

※本記事はサエタカ著の書籍『老いゆく愛犬と暮らしたかけがえのない日々 ワンコ17歳』から一部抜粋・編集しました


「またね」と言える日

「また」があるということは、これが最後ではない

その日は朝から雨で、仕事前にワンコの様子を見に行くと、16歳3か月になったワンコはベッドで静かに寝息を立てていました。傍のソファに座って、その寝息を聞きながら、ポケットのスマホを取り出してツイッターを見ると、いつも気になって応援していた、ある老犬が亡くなったことを知らせる投稿が上がっていました。うちのワンコと同じ歳のコでした。

スマホの中の悲しいお知らせは、隣で聞こえる寝息がいつか聞こえなくなる日が来ることを予感させ、不安が急に現実的な色と重さをもったような苦しい感覚になり、ツイッターの文字が追えなくなりました。

いつか来るワンコとの別れを、どうやって受け止めればいいんだろう


いつか来るワンコとの別れを、どうやって受け止めればいいんだろうと、いつも考えていました。ツイッターでワンコとの日常を綴り始めて半年が過ぎ、同じように頑張っている老犬と飼い主さんたちの様子を伺うことができるようになって、自分たちも頑張る勇気をもらいましたが、愛犬を失って悲しみに暮れる飼い主さんの様子も、同時に知るようになりました。

「#秘密結社老犬倶楽部」の投稿を読んでいると、愛犬が亡くなることを「虹の橋を渡る」と表現されていることが多いと気づきます。その七色の橋を駆け登って行く愛犬たちを、飼い主さんたちは「またね」と見送っています。

その「またね」という言葉は、まるで遊びに行った友達と駅で別れる時のようで、なんだかそっけないなと最初は思っていました。けれど、半年間ツイッターを読んでいるうちに、「またね」という言葉に「また会おう」「また一緒に散歩しよう」の気持ちがあると感じるようになりました。

また一緒に散歩しよう


「また」があるということは、これが最後ではないという意味も込められていて、飼い主にも老犬たちにもやさしい言葉なのだと気づきました。私にもいつか、「またね」って言える日が来るのかな……そう考えました。

「ワンコがいなくなったらどうしよう」

不意に、自分でも考えていなかった言葉がこぼれて、涙が止まらなくなりました。ワンコの寝顔を見ながら、私を置いて行かないで……って考えてしまいます。

ただ、そう思っている自分をちゃんと自覚できるようにはなれました。でもこれじゃきっと、ワンコは安心できないでしょう。もっと強くならなきゃいけません。

そんなことはおかまいなしで


著=サエタカ/『老いゆく愛犬と暮らしたかけがえのない日々 ワンコ17歳』

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