お通じがスッキリしないと、下腹部に不快感があり、春物の薄手のスカートをはいたときにおなかがポッコリと出て、見た目にも「イヤだな」と思うことってありますよね。「病院へ行くほどではないけれども、なんとなく調子が悪い」という便秘は、放置すると大腸がんなどの病気のリスクが高まるので注意が必要です。順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生に聞きました。


「3日に1回」でもスッキリ感があれば快便! 食物繊維&腸を刺激する運動で快腸ライフを目指そう 画像(1/8) 「3日に1回」でもスッキリ感があれば‟快便„です

「3日に1回」でもスッキリ感があれば"快便"

副交感神経によって腸の働きを良くすると同時に、腸内環境を整えることも便秘解消では重要になります。「腸内フローラを整えるには、エサとなる食物繊維が不可欠です。しかし、国内の食物繊維の摂取量は年々減少傾向にあります。食物繊維を1日3回の食事でバランス良く取り入れるようにしましょう」と小林先生。


食物繊維は、野菜などに多く含まれます。厚生労働省の「平成28年 国民健康・栄養調査」によれば、野菜摂取量の平均値は、女性で270.5g、男性は283.7g。国民の健康増進を進める「健康日本(第二次)」の目標値は、平均値350gですから、男女ともに足りておらず、過去10年間で摂取量は減少傾向にあるのです。中には、「毎食ごとに野菜は食ベているけれど便秘がち」という人もいます。それは、野菜に含まれる食物繊維の種類が偏っている可能性があるのです。


「食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、野菜に多く含まれるのは不溶性食物繊維です。乳酸菌のような善玉菌といわれる腸内細菌は、水溶性食物繊維をエサにしているので、水溶性食物繊維を摂ることも大切です」と小林先生はアドバイスします。


水溶性食物繊維は、モズクやワカメなどの海藻類に多く含まれています。ですから、食事の際は野菜とともに海藻類も多く摂るようにしましょう。また、腸内フローラの細菌類のバランスを良くするには、乳酸菌や発酵食品も役立ちます。「病気につながるのは、偏った食事で腸内フローラの細菌類の構成が乱れることが原因と考えられています。腸内の免疫機能やホルモン分泌などに関わる細菌は、乳酸菌や発酵食品で数を増やすことが可能です。毎日の食事に取り入れるようにしてください」と小林先生。


乳酸菌は、ヨーグルトなどに含まれます。腸内フローラの細菌類は人によって異なるので、飲んだ乳酸菌が必ずしも腸内で増えるとは限らないのですが、ご自身の乳酸菌を刺激して増やすことにつながるそうです。一方、発酵食品も腸内フローラで良い働きをする細菌類をサポートします。みそ汁、ヨーグルト、納豆、キムチ、漬物なども、バランス良く食事に加えるようにしましょう。


さらに、頑固な便秘の人には、腸を刺激する生活習慣やエクササイズなども役立ちます。それでも「スッキリ排便できない」という人は、大腸にポリープなどの病気が潜んでいることもあるので、医療機関で受診を。


「快便とは、排便を意識せずに生活できることと考えてください。3日に1回の排便でも、スッキリしていれば問題はありません。回数を気にするよりも、スッキリ感を意識してください」と小林先生は話します。


今日から生活習慣を見直して"腸活"を心がけることで、便秘とさよならしましょう!

 

●便秘Q&A

Q:市販の下剤を使ってもいいの?


A:一般的に市販されている下剤は、腸を刺激して排便を促す作用があります。頑固な便秘のときには頼りがちですが、服用し過ぎると、センノシドといった生薬の成分で腸内が黒ずんでしまうことも。便秘解消に効果的だからと、薬による腸への刺激に頼っていては、腸の機能回復にはつながりにくく、腸内環境を整えることにもなりません。薬に頼るのではなく、腸の働きと腸内環境を整えるため、生活習慣を見直して"腸活"することが大切と考えましょう。


 

Q:腸で作られる幸せ物質セロトニンって何?


A:便秘になるとイライラしたり、不安になりやすいのは、幸せ物質と言われる神経伝達物質のセロトニンの減少が関与していると考えられます。セロトニンの大半は腸で作られるので、便秘になると分泌量が減るのです。

 

 

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体を動かして快腸

●おなか回し+おなかつまみ

便は、大腸が曲がったところにたまりやすいので、その部分をつまんで回すと大腸を刺激して便を動かすことが可能です。力を入れ過ぎると痛むことがあるので、優しくつまむようにするのがコツ。動きの悪い腸には特に効果的です。朝晩1回ずつ行いましょう。



(1)両足を肩幅に広げて、右手は骨盤の上の辺り、左手はろっ骨の下辺りをつまみます。

「3日に1回」でもスッキリ感があれば快便! 食物繊維&腸を刺激する運動で快腸ライフを目指そう 画像(6/8) おなか回し+おなかつまみ-1

 

(2)(1)の状態で、骨盤を時計回りにゆっくり回し、8回繰り返したら、次に逆回りも8回。

「3日に1回」でもスッキリ感があれば快便! 食物繊維&腸を刺激する運動で快腸ライフを目指そう 画像(10/8) おなか回し+おなかつまみ-2

 

(3)終わったら今度は右手は肋骨の下、左手は骨盤の上をつまんで(2)を繰り返しましょう。

「3日に1回」でもスッキリ感があれば快便! 食物繊維&腸を刺激する運動で快腸ライフを目指そう 画像(15/8) おなか回し+おなかつまみ-3

体の中から快腸

●朝の腸活:グラス1杯の水

「3日に1回」でもスッキリ感があれば快便! 食物繊維&腸を刺激する運動で快腸ライフを目指そう 画像(21/8) グラス1杯の水

コップ1杯の水を一気に飲むと、水が入った胃の重さで腸が刺激されて、腸の働きが活発になり排便につながります。

 

●夜の腸活:オリーブ油またはアマニ油

「3日に1回」でもスッキリ感があれば快便! 食物繊維&腸を刺激する運動で快腸ライフを目指そう 画像(28/8) オリーブオイル

固くなった便は腸内で留まり、肛門近くまで到達しても排便が難しいことも。オリーブ油やアマニ油は潤滑油になります。

 

「3日に1回」でもスッキリ感があれば快便! 食物繊維&腸を刺激する運動で快腸ライフを目指そう 画像(36/8)  

腸の働きを良くするには、食物繊維や発酵食品などで腸内環境を整えると同時に、腸が動きやすいように刺激を与えることも大切。また、固くなった便をスムーズに出やすくする工夫も必要になります。朝のコップ1杯の水や、オリーブ油を活用しましょう。

 

◆覚えておきたい「食物繊維」のこと

野菜や果物、海藻類などに多く含まれる食物繊維は、消化・吸収されずに大腸へ届けられます。水に溶けない不溶性食物繊維は、水分を含んで膨らむことで腸を刺激し、水に溶ける水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やします。それぞれ特性があるため、バランス良く食べることが大切です。不溶性食物繊維は野菜、果物、穀物などに多く含まれ、水溶性食物繊維は、ワカメなどの海藻類、大麦などに多く含まれます。



監修=小林弘幸 文=安達純子

※この記事は『毎日が発見』2018年3月号に掲載の内容です。