「お母さんがおかしくなった」母の排泄物が入ったレジ袋を投げ捨て…小学生ヤングケアラーの壮絶体験と母の最期【48歳で認知症になった母 結末とネタバレ】
進行する母の病気
ある日の夜のこと。
いつもの独り言が聞こえないことに気づき、お母さんが正気を取り戻したのかもしれないと期待して、思わず話しかけてしまいました。
もちろんお母さんに対して暴力をふるうつもりなど毛頭ありませんでした。
「一番つらいのはお母さんなのに 僕は最低な人間だ」
そう思ったやっちゃんは、休日はずっと、お母さんと一緒の部屋にいるようになります。罪滅ぼしのつもりでした。
その当時の症状は、鏡に向かっての独り言や、通学中の美齊津さんを追いかけてくること、徘徊などでしたが、それらはすべてお母さん自身の不安が表れていたのかもしれません。
そんなお母さんの心のよりどころはお父さんでした。お父さんが帰宅するやいなや、駆け寄るお母さん。
水産会社を営んでいたお父さんは朝4時に市場に行き、夜も遅くまで働いていました。介護するかたわら、社長業の重責と息子2人の教育費、そして叔母さんの生活費も背負って、ギリギリで踏ん張っていたのです。
生まれて初めての土下座
ある日、新しいゲームを買ったという友達の家に遊びに行ったときのことです。友達の母親がおやつを出してくれました。
汚れた服も着ておらず、身なりもきちんとしている同級生の母親を見て、どうしても自分のお母さんと比べてしまいます。友達が自分と比べてどれほど幸福なのかに気づいていないことに、なんとも言えない気持ちになります。
お母さんの病状はというと、刻一刻と変化していました。
お母さんの排泄物が入ったレジ袋を見つけるなど、病状の深刻化をそばで見ているはずの叔母さん。そんな彼女と、もともと折り合いの悪かったお母さんとの関係は、さらに悪化していました。
独り言は病気のせいでしたが、叔母さんはその内容を真に受けてしまったのです。そのときの叔母さんには、暴言を聞き流すほどの余裕がなかったのかもしれません。叔母さんが出ていくのを止めるため、美齊津さんは、生まれて初めての土下座をしました。
それほどまでに、いまの生活を守ろうと必死だったのです。
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