家で作るパスタがプロ級になる! 一つ星イタリアンシェフの最高に美味しくする方法とは?

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スパゲッティー・アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノは、アレンジして際限なく美味しく作れるベースパスタ


お店でパスタを注文するとき、あなたは何で選びますか? 具ですか? ソースですか?

「麺で選ぶ、という人はそういないと思いますが、パスタは、そもそも麺が主役の料理です。ソースや具は麺を美味しく食べるための引き立て役。味わいたいのは麺なんです」と語るのは、東京・参宮橋にある一つ星イタリアン、「Regalo(レガーロ)」のオーナーシェフ、小倉知巳氏。

2017年から6年連続で一つ星を獲得し、YouTubeチャンネル「小倉知巳のイタリアンプロ養成講座」は、「ロジカルでわかりやすい」「シェフの通りに作ったら家族にほめられた」と人気を集め、開始1年未満で登録12万超になった、今注目のイタリアンシェフ。

このたび上梓された『一つ星イタリアンのミニマル最高パスタ』から、「誰でもパスタを最高に美味しくする方法」について、一部抜粋して紹介します。

麺が主役で、ソースが引き立て役

「そもそもイタリアではパスタは毎日のように食べる普段のごはん。ご馳走にする必要はないんです。食べた時の印象として、麺が前に立って、ソースや具が後に来るのが正しい。
だから僕のレシピは具が少なめですし、そもそもソースも至ってシンプルです、もちろん表現したいのは『麺+ソース+具』という料理ですが、麺がしっかり味わえて、具は具として味がして、それとは別にソースの味もする。それでいて、全体がなんとなくまとまっている。こんな感じが理想です」(小倉氏)。

スパゲッティー・アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノの材料はこれだけ。フルビーガン


では、プロではない人もパスタを美味しく作れる調理のポイントは何でしょうか?

その1
リッチに味付けしない。具やソースが多いと味がぼける

「具を増やしたり、ソース多めにしたり、味を複雑にするような『美味しすぎる味』は狙わなくていい。具やソースが多いと味にキレが出ません。ソースに具を入れたら旨味の加減が必要です。
またソースが多すぎても美味しくない。仕上がりの水分量が多いと感じたら、少し煮詰めたり、盛り付け時にソースを残したりもしています。つまり、美味しく作るのが難しくなるのです」。

その2
1人分ずつ作る。一度にたくさん作ると「キレがでない」

「一度にたくさん作るのも、美味しく作る難易度があがります。20cmのフライパンなら量は最大100gまで。それ以上はフライパンのサイズを上げます。1人分ずつ作ったほうが格段に美味しく、盛り付けるのもラクにできます」。

その3
にんにくの香りをオイルに適切に移す

「ソースごとに欲しいにんにくの強さが違うため、切り方も、目指す色づきも変えますが、いずれも、にんにくの周りに泡が出るまでは中火、それ以降は弱火でじっくり香りを移します。生焼けのにんにくはNGです」。

スパゲッティー・アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノは、ふつふつとしてきたら弱火にして、6分かけてじっくりとオイルににんにくのかおりを移す


その4
パスタを加えたら混ぜすぎない

「和えるほど、まずくなるので最小限に。パスタにソースが絡んでいるけど吸っていない状態が理想です」。

パスタを加えたら麺に水分を吸わせないようにすばやく混ぜる


その5
熱いうちに盛って熱いうちに食べる。パスタはスピードが命

「パスタはぬるくなったら価値がないと思っています。ちょっと時間が経つとパスタが水分を吸ってソースとのバランスが崩れたり、にんにくや唐辛子の香りも上がってきません。スピード勝負です」。

皿の中でも、刻々とパスタとソースの状態が変化するのでサッと食べるほうがいい


他にも目からウロコなポイントや、ミニマルなベースパスタに緩急をつけながらアレンジするレシピが紹介されています。
ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか?最後に小倉氏からのエールを。

「美味しくするコツは言いだしたらキリがありませんが、あまり細かいことは気にせず、完璧は求めず、大いにムラを楽しんで、アツアツを食べましょう! それだけであなたのパスタは生まれ変わります」。

文=鈴木聡子、撮影=佐藤朗(フェリカスピコ)

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