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賞味期限切れ? でも捨てちゃダメ! (ほぼ)食べられます!! 〜正しく知って、減らせ「食品ロス」〜
そんな中、この秋「食品ロス削減推進法」が施行され、社会全体で「まだ食べることができる食品が廃棄されないようにする」という仕組みづくりがスタートしました。すでに、賞味期限切れの商品を販売するスーパーやシェアする団体、アプリなども登場。賞味期限切れ商品を売ることは法律でも認められており、それは賞味期限切れ食品が「まだ食べられる」という証とも言えます。
でもそういえば「消費期限」って「賞味期限」とどう違うか、ご存じですか?
消費期限と賞味期限を正しく理解すれば、食べることができるものも多くあるのです。”「もったいない」と思いながらもゴミ箱へ”、ということを減らすチャンスです!
消費期限と賞味期限の違い

期限の切れた食品を捨てるか捨てないかを決める前に、まず、似ているけれど、全然違う二つの言葉を確認。
「消費期限」(use-by date)
意味:期限を過ぎたら食べない方が良い(劣化が早いので期限過ぎたら要注意)
食品:肉、鮮魚、弁当、サンドイッチ、総菜など
「賞味期限」(best before)
意味:おいしく食べることができる期限(劣化が緩やかなので、賞味期限以降もある程度食べられる期間があり)
食品:スナック菓子、カップ麺、缶詰など
どちらの表示になるかは、劣化スピードの違い。おおむね5日以内で劣化するものは「消費期限」表示となります。つまり、腐りやすいものは「消費期限」表示で、そうでもないものは「賞味期限」表示ということ。
賞味期限切れの牛乳は? たまごは? スーパーで実際に見る、消費期限と賞味期限の違い
以上の説明で「理解した!」と実際にスーパーに行くと、しかし、あなたは牛乳売り場でこんなトリッキーな場面に遭遇します。
<Q1.>隣り合う同じメーカーの牛乳パック。左は消費期限、右は「賞味期限」。
同じ牛乳でなぜ違うの?

<A1.>低温殺菌牛乳は早めがおいしい「消費期限」、一般的な高温殺菌牛乳はちょっと余裕の「賞味期限」表示
<解説>
牛乳の期限表示には、消費期限が表示されているものと賞味期限が表示されているものがあります。消費期限や賞味期限は、法律で一律に決められた設定基準はなく、メーカーがそれぞれの基準に沿った保存テストをし、決めるもの。メーカーが決めた保存方法(主に保存温度)を守って、初めて意味があるものです。
いずれの期限表示も、開封後、期限が無効となり、保存状態によって何日もつかは異なるので、冷蔵庫に保存し早めに飲んでください。
●「消費期限」(低温殺菌牛乳の場合)品質劣化が早いので、未開封で冷蔵庫保存した場合でも、その日までに飲みきる必要があります。
●「賞味期限」(一般的な牛乳や長期保存できる牛乳の場合)
未開封のまま、表示された保存方法で保存した場合に、品質の保持が十分に可能であると認められる期限のこと。品質とおいしさの目安なので、期限を一日でも過ぎたらすぐに飲めなくなるわけではありません。

さて、注目すべきは図中のこの文言。
「期限表示が有効なのは、開封しない状態で0℃以下で冷蔵保存してあった場合だけです。」
結局のところ、開封してしまえば、あとは自己責任の世界。期限表記の知識など無意味です。
その場合は「飲めるかどうか確かめよ」と消費者庁でも注意しています。
さあ、五感を研ぎ澄ませ、自分で判断してみましょう。
<飲めるかどうか確かめる方法>
◎目で見る ⇒ 分離したりブツブツができている
◎臭いをかぐ⇒ ふだんと違う臭いがする
◎味見する ⇒ 酸味や苦みがある
◎沸騰させる ⇒ 豆腐のように固まったり分離してくる
以上の状態が確認できたら、飲まずに処分!
※図と元資料は消費者庁HP〜期限表示を知って、賢くおいしく牛乳を飲みきる〜より
資料提供:一般社団法人 Jミルク

牛乳の消費期限と賞味期限について説明しましたが、豆腐や漬物、プリンなども、製法や殺菌方法、パッケージの仕様によって、消費期限表示と賞味期限表示に分かれています。牛乳での説明は概ねすべての食品に共通するものです。また食べられるかどうかの状態は、食品によって変わるため、いつもと何かが違うなら処分してください。
「結局のところ、五感かよ」
とがっかりする前に、知っておきたい「消費期限」と「賞味期限」表示に至った経緯があります。
1995年(平成7年)、それまで食品に「製造年月日」の表示をしていた日本で、加工食品には「消費期限」か「賞味期限」のどちらか一方のみの表示をすることが義務付けられました。つまり、私たちのお母さん世代以前の人々は、製造年月日から推測した自分なりの知識や五感を頼りに、「食べられる」「食べられない」を自身で決めていたのです。
ちなみにたまごは「賞味期限」が表示されており、これは「生で食べられる期間」を指しています。つまり賞味期限を過ぎてしまったからといって捨てるのはNO! 冷蔵庫で適切に保管されていれば、賞味期限後も数日間は加熱すればおいしく食べられるんです。
賞味期限切れのヨーグルトや納豆は食べても大丈夫?

牛乳と同じ乳製品のヨーグルトは、消費期限ではなく「賞味期限」の表示。発酵食品のため日を追うごとに酸味が強くなるなど味の変化はありますが、未開封の状態で正しく保管されていたものであれば、賞味期限が切れてしまった後も数日間は食べられそうです。
また納豆は「もともと腐っているんだから、賞味期限なんてあってないようなものでしょ?」なんて思っている人も多いかもしれません。納豆もヨーグルト同様「賞味期限」の表示ですが、納豆は腐っている(腐敗している)のではなく、発酵している食品。賞味期限後は少しずつ食感や風味が変わっていき、品質が低下していきます。
どちらの場合も、五感を頼りに「あれ?いつもと違うな?」と感じたら、食べないほうがよさそうですが、賞味期限が1~2日過ぎてしまっているからといって、むやみに捨ててしまうのは避けましょう。
ゆるやかなる賞味期限、本当はいつまで食べられる?
話を「未開封の商品」の期限表示に戻しましょう。
期限表示は、メーカーによって設定されています。※輸入品の場合は輸入業者
自社や試験機関で、微生物試験(腐敗や食中毒の原因菌検査)、理化学試験(粘りや濁り)や官能試験(実際に人が匂いを嗅いだり、味見)などを経て決定するほか、試験せずに、類似の商品の科学的・合理的な根拠に基づいて期限を設定しています。
さらに、試験で得られた「本当の期限」より余裕をもって販売するため、得られた日数や時間に安全系数(商品やメーカーによって異なるが一般的に0.6~0.8)をかけたものが期限に設定されているので、表示されている日付を超えても、美味しく食べられる場合が多いのです。

つまり、製造日から30日間が賞味期限のものなら、計算上の本当の賞味期限は37.5日〜50日と考えられます。でももちろん、保存状態や商品の品目により大きく結果は変わるので、必ず自分の五感で官能試験してください。
ところで賞味期限切れの食品って、食べたらどうなるの?
賞味期限は「食品をおいしく食べることができる期限」なので、多少期限が切れてしまっても問題なく食べきることができる商品がほとんど。賞味期限切れのお菓子やお茶、冷凍食品などは、未開封であれば風味は損なわれるものの、大きな健康被害を及ぼすことはなさそうです。

賞味期限切れのレトルト食品や保存食にいたっては、「賞味期限切れ1年以上経過したものを食べたけど大丈夫だった!」なんてツワモノもいるほど。ただしこれは保存していた環境なども影響するので、やはり自分の五感を研ぎ澄ます必要がありそうです。
しかし、中にはNGな食品もあるので注意が必要です。
例えばたまご。上記でも紹介しましたが、たまごの賞味期限は「生で食べられる期間」を指しているため、賞味期限が切れたたまごを生のまま食べると、健康を害する可能性があります。
また、「消費期限」で表示された肉や魚、パンなどは、劣化が早く、定められた期限以内に食べないと危険です。消費期限で表示されている食品は、期限が切れてしまったら食べないようにしましょう。
賞味期限表示義務なし、という特別枠の食品あり
品質の劣化が極めて少ないものなので、期限表示の省略が可能な品目があります。
『でん粉、食塩、砂糖、うま味調味料、チューインガム、冷菓、アイスクリーム類、氷、飲料水、清涼飲料水(ガラス瓶、ポリエチレン製容器入りのものに限る)』
確かにいずれも賞味期限表示がありませ、、、、ん? 飲料水にはちゃんと賞味期限の印字がありますけど?

飲料メーカーによれば、賞味期限を表示する理由は2点。
1.保管する間に中身の水が蒸発し、規定の内容量に満たなくなるため
2.長期間の保存により、容器を通して周囲の匂いが水に移ることがあるため
つまり裏を返せば、じつは、中身が減ったり、匂いが移ったりするまでの長期間、水は飲めるということ。ただし、他の食品の賞味期限同様に、期限を過ぎれば、ゆるやかに美味しさが失われていきます。
買ったものを食べきるという基本

消費期限表示のものはとにかく早く消費、賞味期限表示のものは期限過ぎてもある程度の期間は食べられる、ということを知れば、今までより食品ロスが少なくなるかもしれません。ただ、「いつまで」という点は、期限を過ぎてから、または開封したときからは、自分の五感を頼りに自身で決めることになります。
でもその前に、食品庫や冷蔵庫で保管する食品をきちんと把握できるくらい整頓されていれば、買いすぎることも、ものを腐らせて捨てることもないはずです。
ちなみに日本で年間に出される食品ロスの量643万トンは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(平成29年で年間約380万トン)の1.7倍に相当します。
買ったものを食べきる。
これぞエコの真髄とも言えるでしょう。
※この記事は消費者庁「食品ロス」のHPの関連資料を参考にしています。
※消費者庁など一般的には「賞味期限、消費期限」の順で表記および説明しますが、この記事では、期限が早くやってくる順がわかりやすいとの考えから「消費期限、賞味期限」で統一していますのでご了承ください。
文と写真:スーパーマーケット研究家・菅原佳己
Information
スーパーマーケット研究家。1965年東京生まれ。一児の母。夫の転勤で国内外の転居を繰り返し、スーパーの研究を続ける。ご当地スーパーブームの火付け役として、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで活躍中。著書『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』(講談社)、『東海 ご当地スーパー 珠玉の日常食』(ぴあMOOK中部)など。「みなさんも日頃から疑問に思っていることありましたら、ご連絡ください。あなたに代わって、お調べいたしますよ〜」
★ホームページ「ご当地スーパーオンライン」
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