気の緩みを実感した10年目の大地震。目指すべきは「命を守る家」 #あれから私は

#やってみた 

不要なものを捨てるのが3度の飯より大好き。「捨て変態」を自称し、持たない暮らしを徹底するマンガ家のゆるりまいさん。物が多い家に生まれ育ち、思春期とともに片付けと捨てることに目覚めたというゆるりさんは、仙台市で東日本大震災の被害に遭い、自宅を失いました。震災から10年、2月16日の地震を経た今、考えていることとは。

鳴り響く緊急地震速報の音に、ただただ慌てふためいて…


あの日から私たち家族は

あの日から今年で10年が経とうとしています。
あの日地震で崩れた家は綺麗に解体され、新しい家が建ちました。結婚したり、祖母が他界したり、子どもが生まれたり…家族が増えたり減ったりしながらの月日の経過は、月並みではありますが、本当にあっという間だったと思います。
家を失った後、固く決意した【命を守る家づくり】は、ライフスタイルの変化に伴いながら、ああでもないこうでもないと試行錯誤しながらやり続けています。これはきっと終わりはないのかもしれません。
この10年の間、日本各地では毎年のように数年、数十年に一度…といった台風や豪雨、強風など様々な災害が起こりました。その度に当たり前ではありますが、災害は地震だけではないのだと実感し、身が引き締まる思いになります。そして家の見直しが始まるのです。
幸い私の住む地域では、東日本大震災を超えるほどの甚大な被害はありませんでしたが、報道等で各被災地の様子を目にするたび、心が痛みました。災害の種類は違えども同じ被災者。あの感じた不安や恐怖、悲しみ、焦りを思い出しては居ても立ってもいられなくなります。

対策は取っていたつもりだったけど

そんな中、先日2月13日にも最大震度6強を記録する大きな地震が発生しました。
その時はちょうど寝かけていたところだったので、不気味な地鳴りから始まった大きな揺れと静かな寝室に鳴り響く緊急地震速報の音に、ただただ慌てふためいてしまいました。
大きな音を立てて上下左右に揺れ動く中、ひたすら私と夫は寝ている息子と猫たちに覆いかぶさることしかできず……。あれから幾度となく余震は経験してきましたが、久々に「あ、これはマズイやつだ」と感じさせる地震でした。ただひたすらに揺れが収まることを願うことしかできない自分に、無力さも感じました。

長く揺れが収まり慌てて家の中を確認すると、対策は取っていたつもりでしたが物がいくつか落下していました(地震があった直後の様子は家の弱点を教えてくれるので、写真を撮っておくと後で対策しやすいです)。


新しい家になってから、今まで一度物が落下していなかったので、少なからずショックでした。

けれど、落下した物の中には、明らかに“気の緩み”を感じさせるものもありました。
例えば洗面所。子どもに触られないよう高い場所に置いていた髭剃りが地震により落下していました。子どもの安全対策に気を取られ、ついその場しのぎで上へ置いてしまっていたのです。


もし下に誰かがいたら……そう思うとぞっとしました。

無駄ではなかった心がけ

けれど、もちろん10年前のあの日に比べたら、比べ物にならないくらいの被害です。

物が凶器のように自分たちに襲いかかって落ちてきた訳ではないし、避難経路を塞ぐように倒れている訳でもありません。必要な物は全て揃っているし、どこに何があるか全部把握できているから、今すぐ家から出て避難することになってもすぐ準備ができます。
あの日感じた家への恐怖はありませんでした。たくさんの物があるのに避難に必要な物が見つけられなかった時に感じた憤りもありませんでした。10年間心がけてきたことは決して無駄ではなかったのです。

そしてそれは多くのご家庭や自治体でもそうだったようです。それぞれ被害の大小はあれど、地震が起きた際の心構えがあるので、迅速に対応できたケースが多かったそうです。あの辛い被災経験は確実に身になっていたのです。

健やかな暮らしを目指して、今私ができること

私自身【命を守る家づくり】を目指してはいるものの、正直、ずっと防災のことだけを念頭に置きながら暮らすのは難しいと思っています。
防災だけでなく、掃除・片付けのしやすさや好きなインテリアを楽しむことも同時に追求しているので、あちらを立てればこちらが立たず…といった状態になることもしばしば……。
けれど災害が多いのはまぎれもない事実。特に地震は予測不能でいつ来るか分からないものです。今この瞬間にも大地がまた揺れ出すかもしれないのです。
だからこそ、有事の時に少しでも慌てず冷静に対応できるようにしたい。そのためにも日頃からの備えは大切にしようと思っています。日頃の暮らしも楽しみつつ、頭の片隅では防災意識も忘れずにいたいのです。

人は「備えてある」という事実だけで安心できるもの。命を守れる家=健やかな暮らしだと私は思っています。

作=ゆるりまい

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ゆるりまい

ゆるりまい

仙台市在住。漫画家、イラストレーター。夫、母、息子の人間3人 +... もっと見る

Information

■著者:ゆるりまい
1985年生まれ。仙台市在住。漫画家、イラストレーター。
夫、母、息子の人間3人 +猫4匹ぐらし。生まれ育った汚家の反動で、現在ものの少ない暮らし街道爆進中。ものを捨てることが三度の飯より大好きな捨て変態。そんな日常を描いた『わたしのウチには、なんにもない。』(KADOKAWA)は2016年、夏帆主演で連続ドラマ化された。



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