ファンミのリハや打ち合わせはほとんどなし!? 超人気MC古家正亨さんが韓国スターの素顔を極限まで引き出せるワケ

ラジオDJであり、韓国エンタメの名物ナビゲーターとして知られる古家正亨さん

【写真】「日本で売れたいなら古家さん」と言われている古家さん
古家正亨さんインタビュー(2)

ラジオDJであり、韓国エンタメの名物ナビゲーターとして知られる古家正亨さん。K-POPのトップアーティストやキム・スヒョンやナ・イヌ、ロウン、チェ・ウシク、パク・ヒョンシク、IUなどスター俳優からの信頼も厚く、イベントやファンミーティングにはMCとして引っ張りだこで、Instagramにもたびたびその様子がアップされています。SNSに投稿された「なりたい職業ランキング1位:古家さん」がバズるなど、韓国エンタメ界に欠かせない存在です。

そんな古家さんが約20年間に及ぶ韓国カルチャーをラジオスタイルで語る、『BEATS of KOREA いま伝えたいヒットメイカーの言葉たち』が発売! 韓流ブームが起こる以前から韓国の音楽を日本で伝え続け、そしていまや韓国カルチャーを語る上では欠かせない人となった古家さんに、本のことやラジオのこと、イベントのことなどさまざまなお話をお伺いしてきました。

──古家さんはさまざまなアーティストや俳優さんのイベントMCをされていますね。お忙しい中で膨大なコンテンツをどうやって視聴しているのでしょうか?

古家さん:「それはよく聞かれます(笑)。例えば移動の電車の中でも、ずっとドラマを見たりK-POPを聞いたりは当然しています。そして、夜中までドラマも見ています。歳をとってきたので睡眠時間が少なくても全然大丈夫なんですよね(笑)。

もともと音楽が好きで聞いていたのもあったのですが、実は最初はドラマは仕事のために見ていました。正直ドラマがあまり好きではなかったこともあって…。でも、唯一好きだったのが大映ドラマで、ふとあるときに『韓国ドラマって大映ドラマと通じるものがあるような…』と思いはじめたんです」

──そして韓国ドラマにハマっていったのですね。

古家さん:「韓国ドラマが本当に面白いと思うようになったきっかけは『ミセン-未生-』です。それから、面白いのに見ていないものがたくさんあるんじゃないかな、と思って、色々な人におすすめを聞いて、これ面白いなとかやっぱり面白くないなとか思いながら見ています(笑)。

『シグナル』、そして『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』も面白かったです。『ミセン-未生-』と同じキム・ウォンソク監督の作品です。

日本では、韓国ドラマはラブコメが人気ですよね。若いころはラブコメはあまり得意ではなかったのですが、なぜか最近は面白く感じるようになってきて。『涙の女王』を見始めたら、離婚する夫婦の話だったこともあって、結婚している身からすると共感できる部分もあって、ハマってしまいました。面白かったですね。『私の夫と結婚して』ももちろん見ました。あれもハマりましたね。そんな感じなので、韓国ドラマの魅力に気づいたのは意外と遅いです」

──『私の夫と結婚して』ナ・イヌさんのファンミーティングに取材でお邪魔したのですが、古家さんが司会で、とにかく盛り上がりがすごかったです。古家さんが司会のイベントはスターの魅力を極限まで引き出すと評判ですが、そもそも台本などはあるのでしょうか?

ファンミーティングやイベントでは、アーティストとファン、古家さんはその両方を常に考えています


古家さん:「基本的に台本はありますが、台本通りにやれば、とりあえず80点ぐらいのイベントにはなると思います。けれど、ファンの方に『お金を払った以上の満足度だった!』と言われるためには、やっぱりMCがプラスαをやらないといけない。ただし自分ができる裁量には際限がありますし、構成は崩せません。

そこで僕に何ができるかというと、外国でもご本人が韓国にいるときと同じような楽な気持ちでイベントに出演できる環境を作ることだと思うんです。

イベントは通訳さんを介してのやり取りになりますよね。会場にいらっしゃる方は韓国語ができる方も多いけれど、ご本人が言った後に通訳さんが訳した言葉で初めて会場とコミュニケーションが成立するんです。それだとご本人のテンションが絶対下がるんですよね、会話にはテンポがあるので。面白いことを話したときって、やっぱりその瞬間に笑わないと。

そのときに僕が一緒にその瞬間を共有することが大事で、一緒になって笑っていたいんですよね。一旦そこでご本人とコミュニケーションを成立させて、安心していただいて、というやり取りを必ずしてから進行しています。

どうやってご本人たちがステージ上で楽な気持ちになってもらえるかということだけを常に考えています。そこには経験がやっぱり生きていると思います」

──「古家さんだったら安心」という感覚があるからでしょうか、取材したいくつかのイベントやファンミーティングでは、俳優さんやタレントさんととても親密な印象を受けました。打ち合わせはどのくらいされているのですか?

古家さん:「そこまで濃密な長い打ち合わせはしていないですね。事前に会っていないこともほとんどです。例えばナ・イヌさんのファンミのときもリハはやったかな?というくらい本当に少しだけです」

──本当ですか…!? それは驚きです。来日されたD-LITEさんが日本ライブツアーの舞台上で、「日本で売れたいなら古家さん」と言っていたそうですが…。

古家さん:「そこまで力はありません(笑)。

D-LITEさんから「日本で売れたいなら古家さん」と言われた古家さん。愛されっぷりが伝わります!

でも、アーティストや俳優さんが最初ステージに上がるときに僕が心がけていることはあります。初対面の方たちには『ステージ上のことは全部僕が責任を持つので、好きなようにやってください』と必ず言います。外国で何かをするということは大変だと思うから。

K-POPアイドルの方曰く、歌や踊りのステージをする方がラクなんだそうです。それくらいトークには神経を使うということなんですよね」

──ご本人と信頼関係を築いているからこそ、濃密な空気感がつくられているのですね。スターの方の自然体のトークを引き出すコツはあるのでしょうか。

古家さん:「ラジオのDJの話にも通じるのですが、本人の話をとにかく聞くということを大切にしています。自分から、『そうなんですね』『こうだからああですね』と誘導するのではなく、とにかく話をしてもらう。そしてそれを聞く。聞き手に徹して、いかに話してもらうか。

そのためにはベースとしての情報が必要です。例えばSNSなどで前日にどこかでラーメンを食べたことが分かったら、『昨日ラーメンを食べにいってましたよね?』と聞くと、『え、なんで知ってるんですか?』『SNS見てますよ、もちろん』という会話が生まれます。

それは台本には書いていないんです。台本に書いてないところで、自分がどうやってその相手を少しでもリラックスさせられるかは常に考えています」

K-POPアーティスト定番の指ハートをリクエスト! 笑顔で応えてくださいました


──俳優イ・シオンさんの日本初のファンミーティングの様子がとりあげられた『私は1人で暮らす(日本タイトル:シングル男のハッピーライフ)』の回に、古家さんが登場しているとか! ハプニングあり、笑いありの神回だったそうですね。

古家さん:「イ・シオンさんの日本のファンミの打ち合わせがあったのですが、そんな取材が入ることを知らなくて。行ったらカメラが何台も入っていて、『これは何の撮影ですか?』と聞いたら、『【ナホンジャサンダ(私は1人で暮らす)】です』と言われて驚きました。
その放送の後に、韓国に行ったら、入国のとき『この間、見ましたよ』と管理官の方に言われました(笑)」

韓国のアーティストや俳優のみならず一般の方にも広く知られ、都市伝説化(!)している古家さん。
編集部が取材に行ったイベントのMCが古家さんだった際、近くにいた方が「古家さんが司会をするイベントには外れがない」と言っていたのですが、納得しかありません…! 

【プロフィール】
古家 正亨(ふるや まさゆき)
1974年生まれ、北海道出身。ラジオDJ、韓国大衆文化ジャーナリスト、そしてK-POPや韓国流俳優のイベントMCとして絶大な人気を誇る。韓国公営放送においてもレギュラー番組持つなど、韓国でも活躍。2009年には、日本におけるK-POP普及に貢献したとして韓国政府より「韓国政府褒章文化体育観光部長官褒章」を授与。2011年から江原道観光広報大使を務める。妻は韓国人シンガーソングライターのホミンさん。近著『BEATS of KOREA いま伝えたいヒットメイカーの言葉たち』も好評!
2024年8月26日(月)には自身のファンミーティング「古家x藤原ファンフェスタ スペシャルゲスト超特急カイ」を飛行船シアター (東京都)にて開催!

文=伊藤延枝

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