便利な「カット野菜」、どうして洗わなくてもいいの?

#食   
手軽におしゃれなひと皿に!


最近、爆発的に売れている「カット野菜」。スーパーやコンビニで扱う種類も増えてきました。便利に活用している、という人も多いようです。

さて、サラダ用にパッケージされた商品のほとんどには「洗わずにそのまま食べられます」と明記されています。でもよーく見てみると、商品によっては「洗ってお召し上がりください」という注意も。一体、どういうこと?

【関連画像】水洗いが必要なものと、必要でないものがあるけれど…?


まず「水洗いしてください」商品について。

サラダ材料でおなじみのベビーリーフの中には、水洗いを促す表示が多いようです。ベビーリーフとは、野菜の新葉(幼葉)のことで、10センチぐらいの高さで収穫し、畑から摘んだままパッキングし、スーパーに並びます。葉はカットしていません。つまりこれは、加工品ではなく農産物。

ベビーリーフの袋に「水洗いしてください」の文字


土づくりにこだわっている生産者「HATAKEカンパニー」の場合は、野菜本来の美味しさのある生産物が自慢です。そして、水洗いすると折れて傷つきやすいベビーリーフのため、収穫、出荷の際に、水は厳禁なのです。キュウリやジャガイモを調理前に洗うように、食べる前に洗浄が必要です。(※一部水耕栽培メーカーのベビーリーフは水洗いなしで食べられるものがあります)

ちなみに昔からある袋入り野菜の代表「もやし」や「かいわれ大根」なども農作物。スプラウト生産の有名メーカー「サラダコスモ」では、洗浄について以下のように回答しています。

「土壌栽培ではないので、基本的に洗わずに食べても問題はありませんが、鮮度と保存状態・使用用途次第です。もやしやギャバ発芽大豆など、加熱するものは洗わなくてもよいのですが、その他、かいわれ大根、ブロッコリー新芽、アルファルファ、空心菜の新芽など生で食べるスプラウトについては、冷水で洗い、できるだけ早く召し上がってください」(サラダコスモ)

なるほど、自然界の菌と共存している私たち、基本的に農産物には水洗いは必須ということ。当たり前ですが、「水洗いしてください」と指示があるものは洗うべきです。

とすると、逆にカット野菜の主流となっている「洗わずに召しあがれます」という商品は、なぜ、洗わなくていいのか? むしろこちらの疑問の方が大きい。

「どうして洗わずに食べられるのか?」

キユーピーと三菱商事が1999年に設立した、パッケージサラダのシェアNo.1メーカー「サラダクラブ」に質問しました。

「サラダクラブ」の商品には「洗わずにそのまま召し上がれます」の表記


ここでもポイントは「菌」でした。野菜の表面についている雑菌を、低温管理された衛生的な工場で、行政の指導に基づいた殺菌、洗浄を行っています。ただ、皆さんが心配されるのはその洗い方。薬剤での殺菌後の影響が気になるところだと思います。

「野菜を洗う際に使用している薬剤は”次亜塩素酸ナトリウム”です。水道水の殺菌に用いられているものと同じのもので、行政より使用を認められています。野菜の表面を殺菌することが目的であり、漂白するものではありません。また、保存料、添加物は不使用です。製造工程の最後に冷水でよくすすぎ洗いを行っており、塩素濃度は水道水レベルであることは確認しています」(サラダクラブ)

つまり、ふだん水道水で野菜を洗っているなら、それと同じレベルの「次亜塩素酸ナトリウム」を意識する必要はないのです。実際、袋を開けても漂白剤のような匂いは一切しません。さらに実験では、工場での洗浄による栄養成分の流出量は、家庭の水洗い程度であることが判明しています。

むしろ、信頼できる契約農家から野菜を仕入れ、産地からスーパーまでずっと低温管理(コールドチェーン)を切らさない点こそが、野菜の鮮度を保ち、菌を増やさない重要なポイントです。

カット野菜の洗浄について、大阪万博のパビリオンにカット野菜を納めた、創業1970年の「清浄野菜普及研究所」という会社にもお聞きしたところ、同様の殺菌工程を行なっていました。さらに同社でも重要なこととしたのは、チラー水と呼ばれる摂氏1℃の冷水ですすぎ、そのまま冷蔵パッキング。コールドチェーンを切らさないこと。

野菜炒め用カット野菜


つまり、洗わないでそのまま食べるには、買ってから私たちが守るべきこともあるということが判明。

1.野菜室ではなく冷蔵室に保存すること

2.賞味期限内、なるべく早く食べること

3.袋を開けたら、すぐに食べること

これが、洗わずそのまま食べるためのルールです。

カット野菜、調理時間の時短になるだけでなく、皮や芯が含まれないため無駄もなく、その手軽さで需要は年々高まっています。また、野菜相場に左右されない安定の価格も魅力です。自分に合った商品を選んで賢く利用してみるのをお勧めします。

サラダ用や炒めもの用など、さまざまなカット野菜が人気


私は、忙しい時にささっと使え、ストレスフリーで野菜を摂れるポイントを評価。サラダ用カット野菜とツナ缶を使えば、まな板を出さずに彩豊かなサラダそうめんが完成です。子どもが夏休みの毎日のお昼ご飯、安心して、ちょっとだけ楽をしてみてはいかが?

文:スーパーマーケット研究家・菅原佳己

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Information

取材協力
HATAKEカンパニー
サラダコスモ 
サラダクラブ 
清浄野菜普及販売所

■菅原 佳己
スーパーマーケット研究家。1965年東京生まれ。名古屋在住、一児の母。夫の転勤で国内外の転居を繰り返し、スーパーの研究を続ける。ご当地スーパーブームの火付け役として、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで活躍中。著書『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』『日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品、見~つけた!』(講談社)。「みなさんも日頃から疑問に思っていることありましたら、ご連絡ください。あなたに代わって、お調べいたしますよ〜」
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