【献立の立て方】時短も節約も叶っていいことだらけ!「1週間献立」作成マニュアル

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1週間分の献立作成マニュアル

日々頭を悩ます「今日の夕飯どうしよう?」問題。仕事に家事に育児に慌ただしい中、毎日の献立を考えるのって結構大変ですよね。そこでおすすめなのが、前もって1週間分の献立を立てておく方法。料理研究家の上島亜紀さんに、毎日の献立作りがラクになるちょっとしたコツを教えてもらいました。

▶教えてくれた人
上島亜紀(かみしま・あき)さん

料理研究家・上島亜紀さん

料理研究家。食育アドバイザーやジュニア・アスリートフードマイスターの資格を持つ。神奈川県の自宅にて料理教室「Cooking Studio A's Table」を主宰。簡単につくれる家庭料理のレシピが人気。著書に『なんてことない THE定番。おかずのネタ帖』、『2ステップで、絶品ごちそう料理』など。
インスタグラム@kamisimaaki


献立を立てる3つのメリット


献立は、日々考えるより1週間分まとめて考えたほうが、労力も少なく多くのメリットが得られます。まずは、献立を立てるメリットを3つご紹介します。

①考える時間が短縮
忙しい時や疲れている時は、「今日のごはん何にしよう」と考えるのも億劫で、なかなか頭が回らなかったりするもの。時間の余裕のある時にまとめて考えておけば、日々悩む時間がなくなります。また、メニューがかぶらないように、前日のメニューを思い出す必要もないため、考える時間も大幅に減り時短に。

②食品ロスが減って節約に
買い物をしながら献立を考えると、ついムダ買いをしてしまいがち。献立を立てて必要なものだけ買い出すことで節約につながります。また、例えばキャベツなら、1日目は千切りキャベツに、2日目は炒め物に、3日目はスープにと計画的に消費できるため、食材がおいしいうちに無駄なく使い切れるのも利点。

③栄養バランスが整う
その日の気分で献立を立てていると、栄養が偏ってしまいがち。まとめて献立を考えることで、肉・魚・大豆製品など主菜の振り分けがスムーズになり、バランスよく食べられます。また、「この日はパスタを食べるから、翌日は野菜たっぷりメニューにしよう」など、栄養バランスがとりやすくなります。

時短にも節約にもなり、家族の健康も守れるなんて、いいことづくめの献立づくり。でも初心者にとってはやはり難しそうに感じてしまうことも。そこで、まずは基本の献立の考え方から説明していきます。

一汁三菜にとらわれなくてOK。重要なのは栄養バランス

カレーにサラダを添えてスープをつけたワンディッシュ献立

そもそも「献立づくりが大変」と感じる背景には、基本の献立とされる『一汁三菜』という言葉があります。これは、ごはんなどの主食に、汁物と3つのおかず(主菜1つ+副菜2つ)を組み合わせたもので、バランスよく栄養素がとれる理想の献立とされるもの。でも、毎日おかず3品と汁物を作るのって、実際問題かなり大変ですよね。

「そこでおすすめしたいのが、一汁ワンディッシュやワンボウルでいいという考え方。例えばカレーなら、端にトマトやレタスなどのグリーンを添えて、スープを付けるだけでOK。栄養バランスさえクリアすれば、一汁ワンディッシュで問題ありません。一汁二菜や三菜というのは、時間・気持ち・食材ともに余裕がある時にすればいいと考えたほうが現実的。ワンディッシュやワンボウルなら、洗い物も少なくてラクですよ」

品数にはこだわらない代わりに、献立の中でこだわりたいのは『一汁』。

「汁物があるだけで食卓が温まり、なんとなく心も豊かになるため、一汁は大切にしましょう。余り食材をなんでも投入できる味噌汁やスープなどは、簡単に栄養バランスがとれる、頼れる味方。時間のない時は、インスタントのドライスープに市販の冷凍オクラやネギを加えたり、もやしや豆苗をお湯でチンして鶏ガラスープの素を入れるだけでも十分な一汁になります」

火を使わなくても、いくらでもやりようがある一汁。大きく構えずに、まずは汁物を習慣にすることが献立づくりの第一歩です。

1週間より融通が利く「3日+2日」献立


せっかく1週間分の献立を立てても、仕事が遅くなって決めていた料理を作る時間がなかったり、家族の誰かが体調を崩して、メニューがうどんに変わったりなど、思った通りにいかないこともありますよね。

「献立を立てるのは月~金の平日5日分でOK。そのほうがイレギュラーな出来事により食材を使いそびれても、週末に回せて便利です。土日はホットプレートや鍋料理など、家族でワイワイ楽しめるメニューにしたり、たまには外食を楽しんだりなど、その日の気分で決められる遊びの部分を残しておくことも大事です」

また、献立を決めていざ買い物へ行ったら、思いがけず魅惑的なセール品に遭遇なんてことも多いもの。

「家計を預かる主婦としては、特売品を上手に献立に組み込みたいですよね。そこでおすすめなのが、5日分の献立を、さらに前半3日と後半2日に分けるという方法。短いスパンで組んだほうが献立の組み換えもラクなため、セール品にも手を出しやすくなります。また3日+2日の献立で、週の中頃に買い足し日を設けることで、食材も新鮮なうちに使い切れます」

献立の立て方手順


では、具体的に献立の立て方の手順をみていきましょう。

①冷蔵庫の食材をチェック

冷蔵庫や保管庫の在庫をチェック

もっとも重要なのは、食材の消費期限。そのためにはまず、冷蔵庫や保管庫を見て、食材の残り物を把握する必要があります。消費期限の短いものから使う順番を考えて献立を立てていきましょう。

②主菜を決める

主菜となるたんぱく質源

メインとなる主菜を決めます。主菜となるたんぱく質源は、肉・魚・大豆製品・卵など。これらを5日でバランスよく配分すると、自然とバランスのとれた献立になります。

最初に魚の日を決めるとスムーズ。新鮮なうちに食べたい魚は、週頭の月曜や、週の中日の買い足しDAYに設定するのがおすすめです。また、生ごみのニオイも気になるため、ゴミの日を考慮に入れるのも重要ポイント。

例えば月・木を魚にしたら、残りの火・金は肉、中日の水曜は日持ちのする大豆製品や卵というように、ざっくりとしたパターンを決めておきます。あらかじめローテーションが決まっていると、献立を考えるのもグッとラクに。

③調理方法を決める
メイン食材が決まったら、次は調理方法を考えます。焼く、炒める、煮る、蒸す、揚げるなど、調理法を変えるだけで、自然と食卓に変化がつきます。時間のある日は煮込み料理、忙しい日はレンチンやオーブンでのほったらかし料理など、料理にかけられる時間を考慮して決めてもいいですね。

具体的なメニューを決めるには、レシピ検索が便利。メインとなる食材を調理方法で検索したり、余り食材との組み合わせメニューなども簡単に探せます。

④副菜を決める

具だくさん豚汁なら副菜いらず

汁物とおかず3品(主菜1品+副菜2品)で構成される『一汁三菜』。和食の基本とも言われますが、一般家庭ではこの形式にこだわる必要はありません。豚汁のように汁物にたっぷり野菜が入っていたり、魚にラタトゥユソースのようなものをかけたりなど、一汁ワンディッシュでも栄養バランスさえとれていれば副菜をつけなくてもOKです。

主菜と副菜の組み合わせのコツ

副菜をつける場合は、主菜との組み合わせから考えていきます。以下に簡単なコツを挙げてみました。

・副菜を足す基準は『そのおかずでごはんがしっかり食べられるか』
肉、魚、野菜などのおかずとスープが一緒にとれる鍋物は、栄養バランス的には『鍋+白ごはん』でも問題ないため、副菜は必要ありません。ただ、おでんなど淡白なお鍋の場合、白ごはんのお供としては味付けが少々寂しく感じられため、副菜をプラスしたほうがベター。『そのおかずでごはんがしっかり食べられるか』を判断基準に、副菜を足すか決めます。

・主菜が濃い味なら、副菜は薄めに
副菜の代表格ともいえるひじき煮。焼き魚などさっぱりした主菜にはよく合いますが、ブリ大根など濃い味の主菜だと、味も似てるうえ塩分なども気になります。濃い味の主菜の時は、副菜は薄めの味付けに。

・主菜と副菜で色のバランスをとる
料理全体の彩のバランスも考えます。主菜が茶色っぽければ、副菜で赤やグリーンなど明るい色を取り入れるようにしましょう。それだけで食卓が華やぎ、栄養も見た目の美味しさもアップします。

・副菜は主菜の調理時間内にできるものに
副菜は和えるだけ、もみこむだけ、レンチンするだけの簡単なもので十分。主菜と同時進行でできるものにすれば時短にもなります。手のかかるものは時間のある時につくり置きを。

・ごはんに味付けで副菜代わりに
副菜の代わりに、炊き込みごはんや混ぜごはんなど、ごはんに味付けをするのも手。熱々のごはんにコンビーフを乗せるだけ、かにかまと万能ねぎを混ぜるだけでも、十分美味しい混ぜご飯になります。

簡単な「栄養バランス」の整え方


献立を立てる際、やはり気になるのは栄養バランス。家族の健康を守るためにも、そこはこだわりたいですよね。以下に初心者でも簡単に栄養バランスがとれる献立づくりのテクニックを紹介します。

・食事バランスガイドで足りない栄養をチェック
1日30品目とるのが理想とか、野菜の摂取目安量は1日350gなどと言われますが、具体的に何をどれくらいとればいいのかってわかりにくいもの。

食事バランスガイド

「そんな時に便利なのが食事バランスガイド。1日の目安量の多い順に、『主食』『副菜』『主菜』『牛乳・乳製品』『果物』がコマのイラストでわかりやすく表示されています。そういった指針になるようなものを冷蔵庫などに貼っておくと、何が足りていないかがひと目で把握できて便利。農水省のホームページで無料でダウンロードできるので、ぜひ活用してみてください」

・常備加工品を活用した手間なし副菜 で一品プラス

ちくわとにんじんの和え物。調味料を入れてもみこむだけ。

食事バランスガイドのカテゴリーの中で、多くの人が不足しがちなのが副菜。忙しい時などは主菜だけで手いっぱいで、副菜まで作る余裕がないことも多かったりします。

「副菜は基本手間をかけなくてもOKと割り切ってしまいましょう。手間なし副菜に便利なのが魚肉ソーセージ、カニカマ、ちくわ、しらすなどの常備加工品。あらかじめ味がついているため、きゅうりの塩もみやトマト、にんじんなどの残り野菜を和えるだけでも、出汁がきいたおいしい副菜ができあがります」

・和副菜を洋副菜に変身させる
洋食メニューの時の副菜って、サラダぐらいしか思いつかないなど、ワンパターンになりがちな人も多いのではないでしょうか。

「家庭の食卓なので、メインは洋で副菜は和など、和洋折衷でも全く問題ありません。気になるようであれば、和副菜を洋副菜に変身させてしまいましょう。例えば、栄養バランスがよく、副菜として優秀のひじき煮なら、卵と一緒に焼いてスペイン風オムレツにしたり、グリーンサラダのトッピングとして載せるだけでも、簡単に洋副菜に変わります」

野菜を刻んで煮込んでと、割と手間のかかるひじき煮ですが、一度作ってしまえばその後のアレンジは自在。

「豆腐と和えて白和えにしたりなど、もちろん和風の味変も可能です。作る時は多めに作っておくと、翌日以降の副菜づくりが格段にラクになりますよ」

ひじき煮は豆腐と和えて白和えに味変


・野菜がピンチの時は野菜ジュースで補う
副菜を作りたくても野菜のストックがない!そんな究極の時には、野菜ジュースを活用するのも手。

「トマトジュースやトマト缶は、よく料理で使われていますが、野菜ジュースでも代用可能です。何十品目もの野菜が入っているため、スープや煮物、カレーなどに入れると、奥深い味が出て意外とおいしいですよ。疲れて何も刻みたくない時は、野菜ジュースとひき肉でキーマカレーなんかもおすすめです。忙しい時は、そういう手の抜き方で栄養バランスをとってもいいと思います」

忙しい時には無理せず、時間にも気持ちにも余裕がある時にストックしておく。そういうスタンスでのぞめば、日々の献立づくりがもっとラクに回せるようになりそうです。

献立づくりがラクになる5つのコツ


・コツ①家族のリクエストDAYを設定
毎日自分1人で考えるとなると、アイデアも尽きてしまうし、何より孤独ですよね。そんな時は家族に食べたいものをリクエストしてもらいましょう。「今日はパパの好きなもの」「明日はお兄ちゃん」など、誰かに特化した日を設けることで特別感が出るし、メニューに変化もつきます。そして何より、悩むことなく家族が喜ぶ献立になるのがいい点。やはり食事は家族がおいしく食べてくれることが一番だし、がんばって作った甲斐もあるというものです。

リクエストで決めるのはメインのみで、副菜は簡単なものを組み合わせるだけでOK。それだけでも十分特別感のある献立になりますよ。

・コツ②料理のジャンルだけ決めておく
料理のレパートリーが少ないと、いつも同じようなメニューになってしまいがち。1週間の献立を3パターンくらい作って、それを永遠に繰り返すという方法だと、作っているほうもつまらないですよね。

ガッツリ献立を考えるのも大事ですが、たまには「中華の日」「和食の日」「洋食の日」「多国籍の日」など、料理のジャンルだけ決めておくのもおすすめ。ジャンルさえ決まっていればレシピ検索もしやすいため、ちょっとしたすき間時間にパパっと決められます。パターン化するならレシピではなくジャンル。「これなら作れる!」「これ美味しそう!」など新たな発見もあり、メニューのワンパターン化を防ぐことにもつながります。

・コツ③簡単な調理法のものを組み込む

豆苗とパプリカのおかかあえ。レンチンして調味用をもみこむだけ

時短献立に欠かせないのは同時調理。そのためには、副菜は主菜を作っている間に手早くできるものにしましょう。『副菜は基本、和えるだけやもみこむだけ』と割り切ってしまうとラクです。野菜を茹でたり蒸したりしたい場合は、火を使わずにレンチンで代替えするのがおすすめ。レンチンなら目を離しても大丈夫だし、鍋などの調理器具も使わずに済むため、後片付けもラクです。また、オーブンで肉や魚を焼く時は、一緒に付け合わせの野菜も焼いてしまうなど、同時調理のパターンを決めておくとよりスムーズに。

・コツ④リメイクの達人になる
毎日すべての献立をいちから作るのは、手間がかかって大変。その日の献立を作り置きとして多めに作っておき、翌日以降に使い回すようにすると時短につながります。特に、五目そぼろ、野菜の浅漬け、ポテトサラダなどは、いろんな料理に変化するのでとっても便利。多めに作っておくことで、2日後3日後の献立が格段にラクになります。

【五目そぼろ】

五目そぼろを温かいごはんと混ぜれば、そぼろの炊き込み風ご飯に

炊き込みご飯、ドライカレー、ミートソース、チャーハン、焼きそば、コロッケ、お好み焼きなど、さまざまな料理にリメイク可能。冷凍もできるのでストックしておいても。

【野菜の浅漬け】

サラダにパスタにスープに変幻自在の即席ピクルス

冷蔵庫の余り野菜など、いろいろな野菜を浅漬けに。1日目は浅漬けとして食べ、2日目はマヨネーズで和えてコールスロー、3日目は塩味のパスタ、4日目はスープにIN、最後はつけ汁も一緒に洋風ちらしにするなど、1週間使い回せます。

【ポテトサラダ】

ポテトサラダは牛乳で伸ばしてホワイトソース代わりに使っても

牛乳で伸ばして、クリームスープやクリームパスタにしたり、グラタンやコロッケの具にしたり、ホットサンドやオムレツに入れたりなど、何にでもアレンジできます。

・コツ⑤単品メニューなど無理しない日を作る
毎日完璧な食卓を目指すなんて所詮無理な話。がんばり過ぎるとストレスになってしまうため、適度な休憩も必要です。

具体的にはチャーハンや焼きそば、オムライスなどの単品メニューでしのぐこと。週の中日の水曜や週末など、疲れも余り食材もたまってきたタイミングは、食材を片付けるのにも最適なメニューです。余ったおかずをごはんと炒めたチャーハンなど、手間なしメニューを取り入れましょう。

食卓で調理しながら食べるホットプレート料理

また、休日はお好み焼きなどのホットプレート料理や、鍋物など、家族で調理しながら食べるメニューもおすすめ。そういった簡単なもののほうが、意外と家族も喜んでくれたりもします。なので「手抜き」とマイナスに捉える必要はありません。堂々と無理をしない「手間なし」日を作りましょう。

1週間献立で節約する方法


計画的に食材を使うことで、節約にもなる献立づくり。その節約効果を最大限に引き出すためには、いくつかのポイントがあります。

・買い物リストと献立リストを両方持って行く
1週間分の献立を決めて買い出しに行ったら、買うはずのなかったものが特売品だったなんてことも多いもの。買い物リストだけではなく、献立リストも一緒に持って行くと、そういった特売品にも柔軟に対応できます。例えばチンジャオロースーを作るつもりで豚肉と考えていたなら、鶏むね肉や牛肉の切り落としでも代用可能と、即座に頭が回りますよね。そのため特売品にも手を出しやすくなります。

一方買い物リストだけだと、「いったいこれは何に使うものだっけ?」とわからなくなることも。また、買おうとしていたものがなかった場合などは、何をどう代用していいかわからず、献立が根底から崩れてしまうなど、融通が利きにくくなります。

・旬の食材を選ぶ

秋の食材

今はさまざまな食材が通年店頭に並んでいますが、やはり野菜も果物も魚も、旬の時期のほうが低価格で出回ります。旬の食材は味も良く栄養価も高いため、健康のためにも積極的に取り入れたいもの。また、「この時期はこれがおいしい」と季節を感じながら食べることは、子どもの食育にもつながります。安くて美味しい旬の食材に、通年安いもやしや豆腐などを組み合わせると、食費の節約にも効果的。下記に主な旬の食材リストを挙げたので参考にしてみて。

旬の食材リスト


【春】
野菜…春キャベツ、菜の花、筍、玉ねぎ
果物…いちご
魚…かれい

【夏】
野菜…トマト、きゅうり、なす、オクラ、とうもろこし、ピーマン
果物…すいか、もも
魚…あじ、うなぎ

【秋】
野菜…かぼちゃ、さつまいも
果物…ぶどう、かき、なし
魚…さんま、いわし、さけ、さば、

【冬】
野菜…白菜、大根、かぶ、れんこん、カリフラワー、ブロッコリー、ほうれん草、小松菜
果物…みかん、りんご
魚…ぶり、さわら、たら、かき、あさり

・根菜はまとめ買い、葉物野菜は中日に買い足し
日持ちする根菜はまとめ買いが便利ですが、葉物やもやしなどは冷蔵庫の中でも傷み、栄養や味も落ちてしまいます。できれば週の中日に買い足し日を設けて、献立の前半と後半で買い分けたほうが、食材をムダなく使い切れます。

・使い切れない食材は、気負わない『ついで冷凍』

使い切れない食材は冷凍ストック

食品ロスを減らすには、足の早い食材から調理していくことが鉄則。でもメニューによっては一度に使い切れないものもありますよね。葉物野菜などは傷むのも早いため、すぐ使わない分は冷凍してしまうのがおすすめです。例えばほうれん草なら、1/2束でも1束でもゆでて切る手間は同じ。だったら使うたびに調理するより、一気に調理して使わない分を冷凍庫にストックしておいたほうが、その後の食事作りの手間も省けます。きのこ類はほぐしたり刻んだりして冷凍、もやしはそのままジップロックなどに入れ替えて平たく冷凍しておけば、使いたい時に使いたい分だけ取り出せて便利。冷凍するために何かをするのではなく、使った残りを冷凍する『ついで冷凍』なら、無理なく食材を使い切れて、節約と時短が同時に叶います。

15分で完成!プロが考えた1週間の時短献立


献立の立て方やコツがわかったら、具体的なメニューを考えていきましょう。

「1週間献立を立てる際に考慮すべきことは、自分と家族の1週間のライフスタイル。何曜日は帰りが遅い、何曜日は買い物に行けるなど、自分や家族の行動パターンから考えていくと、料理にかけられる時間、使える食材などもおのずと絞られていきます」

今回は、日曜と木曜の週2回買い物に行くワ―ママ設定。仕事に育児に忙しい人でも手間なく作れる時短メニューばかりなので、ぜひレパートリーに取り入れてみて。

【月曜日】足の早い食材から消費

パッカンきのこのハンバーグ

パッカンきのこハンバーグ

ベーコンオニオンスープ

ベーコンオニオンスープ


週末は散財しがちなため、週明けのメインは安くて消費期限の短いひき肉に。ひき肉をパックの中で調味し、そのままフライパンへ入れるだけの、手も汚れない革命的ハンバーグです。フライパンひとつでできるから洗い物も少なくてすみ、週末の疲れを引きずっている月曜にうってつけのメニュー。付け合わせのスープは、シンプルながらも仕上げにオリーブオイルをかけることで、コク深い味わいに。

【火曜日】副菜を多めに作って、ストックおかずを確保

ねぎたっぷりとりの照り煮

ねぎたっぷり鶏の照り煮

ひじきのレンジ煮

ひじきのレンジ煮

レタスとしらすのスープ

レタスとしらすのスープ


メインのとり肉を煮込んでいる間に、副菜のひじき煮を同時調理。時間のかかるひじき煮も、レンチンなら10分で完成します。削り節と油揚げを一緒に入れることで出汁いらずでもコク深い味わいのひじき煮は、余ったら汁ごと保存。後日、炊き込みご飯の素など様々な料理にアレンジできます。スープも火の通りの早いレタスでチャチャっと完成!

【水曜日】メイン食材が切れた中日は卵でつなぐ!

かに玉風ごはん

かに玉風ごはん

レタスとハムの和風サラダ

レタスとハムの和風サラダ


疲れがたまってきた週の中日は、冷蔵庫の余り食材を使った簡単な丼もので乗り切ります。主菜となる卵には、入れるだけで味が決まるカニカマを投入。上からかけるあんも、材料を合わせてレンチンするだけの超特急メニューです。レタスとハムのサラダで野菜を補ってバランスよく。

【木曜日】買い足し日は新鮮な魚をメインに

めかじきのオニオンバターステーキ

めかじきのオニオンバターステーキ

きゅうりと大根の浅漬け

きゅうりと大根の浅漬け

インスタントわかめスープ

買い足し日の木曜日は、新鮮なうちに食べたい魚がメイン。パパっと焼いてバターじょうゆで味付けた魚のステーキは、食べ応えも抜群です。副菜には、スライサーで薄切りにした野菜をもみこむだけの簡単浅漬け。買い物帰りで時間がない時でもすぐできる時短メニューです。汁物が欲しければ、インスタントのわかめスープなどを活用しても。刻みネギや冷凍オクラをプラスするだけでも、手作り感が出て栄養もバランスもアップします。

【金曜日】残った野菜は週末で使い切る!

キーマカレー

キーマカレー

豆苗としらたきのスープ

豆苗としらたきのスープ

冷蔵庫の余り野菜を一掃したい週末は、何を入れてもOKなキーマカレーが便利。細かく刻んでカレーにしてしまえば、野菜が苦手な子もパクパク完食できます。野菜を食べさせるのに悪戦苦闘する必要もないため、時短にもなるし、疲れのたまっている週末が心穏やかに過ごせるように。スープは、豆苗とあく抜き済みのしらたきにサッと火を通したシンプルなものでさっぱりと。

【土曜日】ホットプレート料理で家族団らん

フライパンビビンバ

フライパンビビンバ

春菊とねぎのチョレギサラダ

春菊とねぎのチョレギサラダ


休日は、家族みんなでワイワイ作りながら食べられるメニューに。定番の鍋や焼き肉などもいいけど、ちょっと趣向を変えて韓国料理しばりにするだけでも、食卓に特別感が出ます。肉も野菜も一緒にとれるビビンバは、ホットプレートで炒めるだけと簡単!副菜のチョレギサラダとも高相性です。サラダに使う春菊は傷みやすい葉の部分から使って、茎はストック。スープや炒め物の風味付けにも便利です。

これらの1週間献立はほんの一例。平日に買い物に行けない人は、「魚や葉物野菜など、傷みの早いものから消費していく」など献立づくりのルールを、自分のライフスタイルに合わせて組み立ててみると、1週間献立がうまく回せるようになりますよ。

文=酒詰明子

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